「私、ついつい妄想しちゃう癖があるんだよね」という会話をしたり耳にしたことはありませんか。

また「実は私も妄想が趣味」という人もいるのではないでしょうか。

 

軽い気持ちで使っている「妄想癖」という言葉ですが、実はその意味をよく理解すると注意しなければいけない癖であることが分かってきます。

いったい妄想癖がある人はどんな原因や心理によって妄想が身についてしまうのでしょうか。

 

この記事ではそんな妄想癖の原因や心理、治療法までご紹介します。

自己診断方法についても解説しますので、自分自身を振り返るのにご利用下さい。

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妄想癖の妄想とはどういう意味?

 

まずは妄想癖の「妄想」という言葉の意味について知っておきましょう。

妄想癖(もうそうへき)の「妄想」について辞書を引いてみると、名詞と仏教用語の2種類が見つかります。

 

名詞としての「妄想」には、非現実的な出来事に対して、病気に由来する原因によって間違っている判断や確信をもつことを指す意味があるとされています

人間は誰しも「この先どうなるのかな」「これはどうなっているのかな」と頭の中で想像することはよくあることです。

 

しかし妄想の場合は間違いを真実と思い込んでしまう傾向があるために、日常生活や社会生活に悪影響を与えます。

そのため過度な妄想癖は精神医学的にみて病気と診断されます

 

一方で仏教用語の妄想は「もうぞう」とも読み、正しくない考えや根拠のない想像を意味します。

邪念など正しくない心で真実ではない物事に対して「これが真実である」という思い込みが生まれることを指します。

 

そもそも妄想の「妄」とは、「道理が分からないもの」「でたらめ」という意味をもつ漢字です。

そんな「妄」の漢字と「想像」の意味合いが組み合わさり、「妄想」という言葉を構成しています。

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妄想と空想の違いはコレ

 

妄想と似たような概念として「空想」を思い浮かべる人も多いかと思います。

実現させることが難しいこと、たとえば「空を飛ぶにはどうすればいいのかな」と想像してみることは空想と呼ぶこともありますが、妄想とは呼びません。

いったい空想と妄想にはどんな違いがあるのかみていきましょう。

 

空想の意味

空想とは「現実世界では実現しないと分かっていることについて想いを巡らせること」という意味があります。

 

たとえばアニメや実写映画で未来や宇宙、魔法などのファンタジー世界を描くことはよくありますが、これらの世界観を作るためには空想力が必要となります。

 

現実世界との関係性があるようにみせてみても、「しょせんは空想上の世界」ということが分かった上で行う想像ともいえます。

 

つまり空想とは「こんな世界があったらいいな」という未知のものへの興味や憧れによって生まれる世界観であることが多いです。

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妄想と空想の違いは現実に与える影響にある

妄想と空想の決定的な違いは、「空想は実現不可能な出来事を頭の中で考えるだけ」であるのに対し「妄想は実現でいると確信すること、判断すること」であるといえます。

 

空想に関しては、空想している本人が「これはフィクションである」「現実的ではないことを考えている」という自覚があります。

そのため現実世界で空想を口にすることはあまりありませんし、もし口にするとしても「もしもの話だけど、魔法が使えたら何がしたい?」というように現実と想像の世界の区別をハッキリさせています。

 

一方で妄想は本人にとっては空想でもなんでもなく「事実」です。

そのため現実世界で、自分の妄想が事実であるという仮定の下で行動します。

他人に指摘されても、それが妄想であることを認めず様々な軋轢を生みます。

 

ですので社会生活に問題を起こすのが妄想、個人で楽しむ分には問題ないのが空想であるといえます。

 

妄想癖の主な3つの種類

 

妄想は精神医学的には病気と診断されることが多いですが、それは他人にとっては明らかに「根拠のないまやかし」「道理が通らない正しくないこと」であるのにもかかわらず、本人にとっては妄想としての自覚が一切ないことにあります。

具体的には妄想癖にはどんな種類があるのかみていきましょう。

 

被害妄想

妄想の中では最も多いタイプとされているのが「被害妄想」です。

他人の言動には自分に対する悪意が潜んでいると妄想してしまうタイプを指します。

 

また間接的に悪意を向けられているだけではなく、実際に攻撃を受けていると考えます。

「誰かに攻撃されている」という被害者意識や、「監視されている」「悪口を言われている」といった根拠のない被害を訴えることが多いです。

 

たとえば仕事で自分のせいでミスをしたとしても、「同僚の○○さんが失敗するように裏で工作をしたせいだ」と確信を抱いたりします。

自分が抱いた他人に対する印象から「こうに違いない」と思い込んでしまいます。

ですので挨拶されないなど、ちょっとでも悪い印象を相手に覚えると「あの人は悪い人でよくないことを企んでいる」と思い込んでしまったりします。

 

その他にも「悪の組織に人体実験を施されて、自分の行動は都合の良いように操られている」などの妄想を信じ込んだりすることもあります。

 

 

誇大妄想

実際の自分よりも大きな権力や実力を持つと思い込むタイプを「誇大妄想」と呼びます。

 

たとえば自分は貴族など高貴な血に連なる人間であると思い込む「血統妄想」や、自分を神さまに選ばれた存在だと信じる「宗教妄想」、アイドルと恋愛中であるなどと事実無根の恋愛を妄想する「恋愛妄想」なども誇大妄想に含まれます。

特に根拠もなく相手が自分を好きだと思い込む妄想を「被愛妄想」と呼びます。

 

希望する自分の姿が現実であるかのように思い込む妄想です。

 

微少妄想

誇大妄想とは逆に、自分自身について過剰なほど低く評価してしまう妄想を指します。

 

たとえば特に何か悪いことをしたわけでもないのに、「自分は重大な過ちを犯してしまった」という妄想に取り憑かれる「罪業妄想」などが挙げられます。

「自分はダメ人間で、生きている意味がないんだ」と思い込んだりと、うつ病患者によく見られる症状です。

 

また実際の経済状態よりも自分は経済的に困窮していると思い込む「貧困妄想」や、自分が病気を患っていると思い込む「心気妄想」も微少妄想に含まれます。

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妄想癖の5つの原因が5つの心理を生む

 

妄想癖の原因は純粋に病気であることもあれば、その人の性質や性格、過去の出来事など環境が影響する場合もあります。

それぞれどんな原因がどのような心理を生むのか解説します。

 

精神的な病気が原因

妄想癖は単なる個人の嗜好や個性とは言いきれません。

妄想癖は精神医学用語であることからも分かるように、薬物中毒や高熱、統合失調症などの精神障害の症状の1つです。

 

つまり一種の病気であるといえます。

また更年期障害やうつ病などでも発症することがあります。

 

過剰なストレスが原因

天災や戦争などの精神的にショックの大きい出来事やストレスを受けたりすると、現実逃避から妄想にふけることがあります。

またいじめや虐待、犯罪に巻き込まれたなどの過去の辛いトラウマから「また繰り返し辛い目に遭ったらどうしよう」という不安が生まれ、その状況から逃れ精神の安寧を取り戻すために妄想の世界に逃げ込むのです。

 

欲求不満である

人間は他人との関わり合いの中で自分の生きる意味や存在の証明を感じるものです。

しかし人間関係が過度に希薄であると、孤独なまま自分の世界に引きこもることになり視野がせばまり、妄想癖が育ちやすくなります。

人付き合いが満足に行えていないという欲求不満から、やがて自分に都合の良い状況を想像するようになるのです

それが悪化すると妄想癖につながります

 

また毎日の生活に「刺激が足りない」「退屈だ、なにか起きないかな」と欲求不満を感じている人は、妄想することで足りない刺激を補おうとします。

しかし頭の中だけに妄想を止めておくことができず、現実世界でも実現しようとして手痛い失敗をおかすことがあります。

 

自分に自信がない

誇大妄想とは逆に、過度に自分に自信がないと微少妄想にとらわれやすくなります。

「どうせ自分なんか誰にも相手にされないんだ」といった気持ちからスタートして、「こんなにダメな自分を周囲の人間はきっと笑っているに違いない」という妄想を育ててしまうのです。

自分に自信がない上に自分を客観視できない人が陥りやすい妄想です。

 

純粋である

純粋である人は人を疑わないということですが、それだけ思い込みが激しい人ともいえます。

そのため純粋な人は妄想に囚われやすい性質があるといえます。

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妄想癖があると集中できない!症状を詳しく解説

 

妄想癖があると、現実と想像の世界の境界があいまいになっていきます。

その結果、現実の世界では様々な問題が起きます。

いったいどんな症状が表れるのか解説します。

 

根拠がないことを真実であるかのように話す

空想してみることは誰でもある経験です。

しかし空想が日常化してしまっているばかりか、その内容を平気で自分以外の人間にも話すようになると妄想癖は悪化しているといっていいでしょう。

 

根拠がないことをさも真実であるかのように話すため、周囲の人間からは「あのひとは虚言癖がある」とみなされ人付き合いを避けられるようになったり社会生活にも支障がでるようになります。

 

他人から訂正されても妄想であることを認めない

妄想癖があるひとは自分の考えが妄想であることを認めません。

自分に好都合な妄想で自己陶酔感を味わうばかりか、現実でも自分の妄想通りになっていると考えた言動をとります。

 

もし自分の話を否定されると、攻撃されていると思い込み相手に対して敵対心を抱いたり、周囲に「あの人は邪悪だ」「あのひとにいじめられている」と言いふらし回ったりすることになります。

 

思い込んだ内容が非現実的

「もしかしたらありえるかもしれない」というような内容を妄想することは少ないです。

多くの妄想は、普通の人々にとっては「まさかそんなこと起きるわけがない」「真実であるはずがない」とおもってしまうような内容です。

 

しかしいくら非現実的な内容であろうと、妄想癖のある人にとっては真実として認識されています。

非現実的であるが故に、「現実だ」と思い込んで行動する妄想癖のある人の行動に周囲の人間は振り回されたり迷惑をかけられたりします。

 

攻撃的になる

被害妄想にとらわれてしまうと、自分以外の人間に対して「この人は敵だ」と認識するようになります。

そのため自分を守ろうと他人に対して攻撃的になります。

 

失敗しても現実逃避でごまかす

妄想癖のある人は、認めたくない現実を前にして妄想に逃げ込むことが多々あります。

妄想に逃げ込まれると、責任をとってもらうことは難しくなります。

失敗を受け止めきれず妄想に逃げ出されると、その後始末に周囲の人間は迷惑を被ることになります。

 

自己中心的な思考になる

妄想の多くは、その人にとって都合が良かったりそのひとが被害者であり相手が敵になります。

自分中心の考え方になるので、周囲の人間は気を使ってしまったり傷つけられたりと辟易してしまいます。

 

人と話をしていても上の空

妄想癖がある人は人の目を見てはなすことができなくなります。

これは現実と妄想の区別がないため、人と話をしている最中も話に集中できずに相手に目の焦点も合わせられないからです。

 

上の空で相手の顔も見ずに話をしていると、相手は不愉快に思ってしまいます。

人間関係に悪影響を与えることとなります。

 

 

独り言が多い

わたしたちはひとりで部屋にいるときでも、「忘れ物はなかったかな?」というように独り言を漏らすことがあります。

これは声に出すことで自分の思考を確認しているからです。

ただしあまりにも頻度が高いと要注意です。

 

独り言が多くなってくると、自分の意見に賛同を得られたような気分になり、妄想と現実世界の区別が難しくなってしまいます。

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妄想癖のある人との付き合い方

 

実際に身の周りに妄想癖がある人がいた場合、どのようにして付き合えばいいのでしょうか。

その対処方法を解説します。

 

必要以上に近寄らない

妄想癖のある人と付き合う上で最も重要なことは、人間関係の距離を必要以上に詰めすぎないという点です。

「あれ、この人は妄想癖があるのかな?」と感じた時点で距離を置くようにしましょう。

 

露骨に避ける必要はありませんが、周囲に「この人たちは友達だ」と認識されるほど仲良くなったり寄り添わない方が賢明です。

 

相手の話の腰を折る

人と話すときに相手の話の腰を折ることは失礼に当たります。

しかし妄想癖のある相手の話のほとんどは「妄想」、つまり中身のない話です。

うっかり「そうかもしれないね」と相槌をうってしまうと、ますます相手の妄想が垂れ流されることになり聞いているだけで疲れてしまいます。

 

できるだけ話の主導権を相手に握られないようにしましょう。

相手の話が始まったら受け流すか話の腰を折った方がいいです。

 

親身になって話を聞かない

妄想癖のある相手と仲良くなってしまうと、相手の妄想に付き合わされることとなり自分も消耗してしまいます。

妄想癖のある人の相談事は、可能な限り相手をしない方が自分を守ることができます。

 

ただし相談を持ちかけられて、あからさまに「あなたの話を聞く気はない」と突っぱねてしまうと、相手の妄想の中であなたが自分を攻撃していると認識されるおそれがあります。

 

「そんな心配事があるの?あなたっていい人だからそんな風には見えなかったな」と相手に自分の好印象を与えつつ、「時間が取れなくてごめんね!用事があるからゆっくりできないんだよ」とフェードアウトするようにしましょう。

 

相手に好印象を与えるのが重要

妄想癖のある人に対しては距離を取るのが一番ですが、あまりにも相手を邪険に扱うのは危険です。

「この人は私を攻撃している」と認識すると、攻撃の対象になってしまうからです。

 

様々な人間に「あの人はこんなにも邪悪な人間だ」と言いふらされるのは自分の精神衛生上にも、社会的評価のためにも避けたいですよね。

ですのであまり相手にしないようにしつつ、相手が自分に対して悪い印象をもたないようにする必要があります。

 

たとえば、挨拶はしっかり相手の目を見て行いましょう。

ヘタに目を逸らすと「やましいところがある」「自分に対して後ろめたいことがある」ととらえてしまうのが妄想癖のある人です。

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もしかして妄想癖があるかも?!自己診断チェック

 

妄想癖な自分自身では気がつかないのが特徴の1つです

「もしかして私も現実と想像の世界の区別がついていなかったらどうしよう」という方はぜひ、自己診断にチャレンジしてみて下さい。

 

質問 はい いいえ
1 宝くじに当たったり、億万長者になったら何をしようかよく考える
2 自分はデートと思っていたが、相手はそう考えていなかったことがある
3 ドラマや映画の主人公、登場人物になりきるのが得意
4 人間関係を築くのは苦手
5 他人より自分の頭脳は優秀だと思うことが多い
6 アイドルが恋人だったらと想像することがある
7 人と話をしているときに他のことを考える事がよくある
8

 

芸能人など現在の職業とは全く関係のない転職をしてみたいと考えるときがある  

 

 

 

9 自分の結婚式でサプライズイベントがあったら嬉しいと感じる
10 よく他人に外見と中身が違うといわれることがある
11 居住地から遠く離れた場所に出かけてみたいと想像することがある
12 子供の頃から同じような夢を繰り返しみている
13 惚れやすい
14 他人に会うのは億劫に感じる
15 自分には敵が多いと感じている

 

当てはまる項目が11個以上あった人は妄想癖が他人より強いという自覚が必要です。

 

8個以上10個以下の項目が当てはまった人は、妄想予備軍ですがまだ現実と空想の区別がついています。

ただし自分が空想しがちであるということに注意した方がいいです。

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妄想癖を自分で治療出来る5つの方法

 

妄想癖を自分で治療するためのトレーニング方法について解説します。

参考にしてみて、それでも効果がなければ医療機関を受診してみるのがおすすめです。

 

達成しやすい目標を持つ

現実世界で結果がきちんと出せる人は、妄想に逃げる必要がありません。

何か目標を立て、目標を遂行するためのスケジュールを組みましょう。

予定が決まると忙しくなり、妄想しているヒマはなくなります。

 

また「予定を立てて達成する」ことで実行力が身につき、自分に自信がつくので妄想で自分の気持ちを宥める必要がなくなります。

あまりにも非現実的で実行不可能な目標だと逆に妄想は悪化してしまいますので、人並みな目標がおすすめです。

 

自分を客観視する

妄想癖を治療する上では、自分に妄想癖があることを認めるということが重要になります。

迷ったら常識的な判断基準を持つ人にアドバイスを求めるのも有効的です。

 

自分で自分を客観的に見つめるのは大変ですが、他人からだと自分では分からないことも指摘してもらえます。

重要なのは自分だけの考えの殻に閉じこもるのではなく、多様な価値観に触れることです。

 

運動する

妄想は、何もすることがないとついつい考えてしまいます。

仕事が忙しかったり趣味に打ち込んでいると、妄想するヒマはなくなります。

 

また運動することで得られる爽快感は妄想よりも自分の心に満足感をもたらしてくれるので、妄想癖から脱却することができます。

さらに運動して疲れたあとは、心地よい睡眠を得ることができます。

激しいスポーツは苦手だという人は散歩でも十分に効果はあります。

 

 

できるだけ人と会話する

孤独は妄想を加速化させる傾向があります。

妄想しても、それが現実と違うことを指摘してくれる他人の存在がないからです。

 

また人と触れあうと「他人から見た自分」にも注意が向くので、「妄想を垂れ流さないように注意しよう」と我が身を振り返ることができます。

また自分にはきちんと理解してくれる人がいること、話せば通じるという経験によって妄想を断ち切ることができます。

 

規則正しい生活習慣を身につける

肉体が不健康だと精神も不安定になります。

3食きちんと栄養バランスを考えた食事を摂り、早寝早起きの習慣をつけましょう。

心の安定につながるホルモンの分泌は質の高い睡眠を摂ることで得られます。

 

また不規則な生活習慣を続けていると自律神経が乱れやすくなり、心も体も不健康な状態になりやすくなります。

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