子ども時代に誰もがやったことのあるあの遊びが「えんがちょ」だった?!
実は残酷な意味を持つ「えんがちょ」の意味や由来から、こんなにあるの?と驚く呼び方や使い方まで総まとめ!
また「千と千尋の神隠し」の他に、あの大人気アニメでも「えんがちょ」が使われていました!
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目次
いまどきの人は知らない!えんがちょとは
「えーんがちょっ!」、昭和に子供時代を過ごした人なら聞き覚えがあるかもしれません。
または「えんがちょ」とは知らずに使っていた人もいるかもしれません。
「えんがちょ」とは子供の遊びのひとつです。
例えばあなたの友達もしくは自分が野良猫や飼い犬の糞を踏んでしまったり、落ちてきた鳥の糞が頭にあたったり、または食べていた物にハエがとまったりしたとします。
そんなときに使ったり使われたりするのが「えんがちょ」です。
「えんがちょ」とは汚い物や人から、またはその物や人が持っているであろう悪運から自分を守るための呪文やおまじないとして使われる子供の口遊びのひとつなのです。
えんがちょの意味を詳しく解説
実は残酷な言葉?!
「えんがちょ」の意味を詳しく見ていきましょう。
縁を切る
「えんがちょ」とは「縁を(ちょん)切る」を表す言葉とされています。
汚い、不浄なものと縁を切って自分への感染を防ぐために使われる呪文、またはおまじないに近い意味を持った言葉です。
差別用語?
「えんがちょ」とは差別用語ともとることができます。
子供の遊びの一種なのに差別になるの?と思うかもしれませんが、そもそも「えんがちょ」とは汚い物に触れてしまった人、もしくは不浄とみなされた人に対して手で決められたポーズを作り声を大にして「汚れたあなたとは縁を切ります」と堂々と宣言をするようなものなのです。
運悪く汚れてしまった、または不浄とみなされた子は「えんがちょ」をされて周りの子からは逃げられて、仲間外れにされるのです。
子供の時には言葉の意味を深く考えず、それこそただの遊びと思い笑いながらしていたことが、その行為自体は実は残酷なものであったりします。
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えんがちょの語源は意外に古い
「えんがちょ」の由来
日本古来より不浄な状態「穢れ」を嫌い、防ぐ風習はあるとされています。
「えんがちょ」の由来は「縁が千代切った」と考えられていて、人と人との「縁」またはあそぶ、ふざけるの意味を持つ「戯」を千年また非常に長い年月、「千代」に切ると言う意味になります。
また、「えんがちょ」の「ちょ」は現代でもよく聞く「ちょん切る」の「ちょん」の擬音がそのまま使われていると考えられます。
「えんがちょ」の歴史
古いものでは13世紀半ば、800年ほど前には成立していたとされる平治物語の絵巻、「平治物語絵詞」に「えんがちょ」をしている人々が描かれています。
絵巻には平治の乱で敗れた信西の生首を見ている群衆が生首に向かって「えんがちょ」を行っています。
これは戦国の時代では勝つことが全てであって敗者は不浄なものと考えられていたためで、群衆は敗者の不浄な生首やそれが持っているであろう悪運から自分を守るために「えんがちょ」を行ったのです。
また絵巻には子供ではなく大人が「えんがちょ」を行っているところが描かれていて、この当時「えんがちょ」とは単なる子供の口遊びではなく、もっと深刻な意味があったのだと推測できます。
忌みごもりとの繋がり
肉親の死後、一定期間自宅に篭り外部との接触を避け喪に服すことを「忌みごもり」といいます。
現代では「喪中」と言われているものです。
なぜ「喪中」という期間が定められたのでしょうか?
これも死は不浄なもの、または死は移ると考えられていたことから忌みごもりという文化ができたと言われています。
そもそも「死は移る」と考えられるようになったのは感染症、伝染病が猛威を奮っていた時代で死体から病が伝染すると言われていたことから、「死は移る」と考えられるようになったと思われます。
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関西ではえんがちょが通じない?!地方別呼び方をチェック
「びっき」、「ぎっちょ」って何?!
方言と一緒で「えんがちょ」も地方各地で呼び方が違うようです。
さっそく見ていきましょう。
北海道
北海道では「びっき」「ぴっころ」「えったちーんき」等と言われています。
北海道は面積が広いこともあり北海道だけでもいくつかの呼び方があるみたいです。
ちなみに北海道にはもともと「えった」という方言があり、これはロシア語の「エータ」が語源になっていると考えられています。
「えったちーんき」の「えった」はここからきているのでしょう。
意味は「タッチ」と同じで、鬼ごっこで鬼が逃げている人を捕まえた時に使われます。
東北
青森では「ピースバリア」、福島では「バーリ」「けーがれ」等と言われています。
また「バリア」は東北地方に限らず多くの地方で「えんがちょ」の代わりに使われています。
関東
東京では「えっぴー」、神奈川では「鍵締めた」「ガッキンバリア」「エンピ」、埼玉では「ギッチョバリア」等と言われています。
関東でも「バリア」が多く使われているようですが、東京では「えっぴー」が主流のようです。
関西
神戸では「みっき」、大阪では「ぎっちょ」「べべんじょ、かんじょ、かぎしめた」等と言われています。
関西と関東で大きく呼び方に違いがあるような印象を受けます。
また「えんがちょ」とは随分変わった呼び方でもあります。
これでは関西で「えんがちょ」が通じないのも納得できますね。
その他の地方
中部地方の名古屋では「やめち」「めんき」「ガーチョ」「メーンキ」「イーンキ」、中国地方の広島では「ぶりっきゅー」、九州の福岡では「がっぴ」、佐賀では「ブッチ、バリヤ」等と言われているそうです。
同じ意味、同じシチュエーションで使われるの言葉でも地方によって多種多様な呼び方があることがわかります。
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指を使うのは万国共通!えんがちょの4つのやり方
「えんがちょ」には様々なやり方があって片手でできるものと両手を使うものがあります。
共通していることは「えんがちょ」をされる対象となった人に触れることなくポーズを作れることです。
これは子供がいかに暴力的にならずに遊べるか考えた上で生み出されたポーズなのかもしれません。
片手で作る「えんがちょ」の形
a中指と人差し指を交差させる
a中指と薬指を交差させる
a握りこぶしを作り人差し指と中指の間から親指を出す
a人指し指と親指で輪を作る
両手で作る「えんがちょ」の形
a両手の親指と人差し指で輪っかを作り鎖のように繋げる
a両手の親指と人差し指で円を作り第三者に切り離してもらう
a両手の人差し指を交差させてバツマークを作る
a両手の人指し指を繋ぎ、第三者に切り離してもらう
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えんがちょのルールを詳しく解説
子供時代にみんながやっていたあの遊びが「えんがちょ」だった?!
登場人物
「えんがちょ」のルールは鬼ごっこにとても似ていますが、最低でも3人の登場人物が必要になります。
一人目は運の悪いことに何かしらの不衛生なものに触れて汚れてしまった、もしくは汚いとみなされた「えんがちょ」をされる人になります。
二人目は「えんがちょ」のポーズを作る人、そして三人目は「えんがちょ!」または「縁切った!」等と言って二人目の人が作った「えんがちょ」のポーズを切ってくれる役割の人です。
もちろん本当に手をはさみなどで切るのではなく、手刀で切る真似をするだけです。
遊び方
「えんがちょ」をされる人、汚れてしまった人はその汚れを周りにいる誰かに触れることによって移すことができます。
移されたくない周りの人は「えんがちょ」と言ってポーズを作り三人目の人に作ったポーズを切ってもらいます。
すると「えんがちょ」によって縁を切った子には触れても汚れを移せなくなる、という仕組みです。
大人になって考えてみると実はけっこう残酷な遊びをしていたのかもしれない、と少し罪悪感が沸いてきます。
「えんがちょ」をする側はともかくされる側はけっして気持ちのいいものではなく、現代では当人たちは遊んでいただけのつもりでも、いじめととらえられる可能性も大いにあります。
子供は純粋なゆえに時に残酷なのですね。
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千と千尋の神隠しの他にもえんがちょが使われている
あの大人気アニメにも「えんがちょ」が使われている?!
それぞれの「えんがちょ」の使い方にも注目!
千と千尋の神隠し」で使われている「えんがちょ」
「千と千尋の神隠し」で初めて「えんはちょ」を聞いた、という人も少なくないと思います。
映画内では千尋が湯婆婆の姉の銭婆によって呪いのかけられた虫を踏んでしまったときに、釜爺が千尋に両手で輪を作らせた上で「えんがちょ!」といって手刀でその輪を切ってくれます。
これは千尋を呪いから守るための「えんがちょ」であって呪いとの縁(円)を切ったと考えられます。
これは今まで話してきた「えんがちょ」とほぼ同じ意味で使用されています。
「えんがちょ」の変わった使い方
さて、実は「千と千尋の神隠し」以外のアニメにも「えんがちょ」または「えんがちょ」ととれるものが使われています。
ですが本来の「えんがちょ」の使い方とは少し違う意味合いで描かれています。
子供だけでなく大人にも大人気の漫画「ワンピース」では両手の人指し指を交差させて「えんがちょ」のポーズをとっているキャラクターが描かれていますが、それは敵からの攻撃を守るために使われていて本来の縁を切る、という意味とは少し変わっています。
またウルトラマンや古いものだと鉄人28号でもワンピースと同じような使い方で「えんがちょ」を使うシーンが出てきます。
ヒーローが敵の攻撃を跳ね返すために胸の前で両手をクロスさせ「バリア」を張ります。
この2つのアニメも当時子供に大人気だったことを踏まえると、この影響でいくつかの地方で「えんがちょ」の代わりに「バリア」が使われるようになったと考えられます。
もうひとつ、長く人気を誇るアニメ「クレヨンしんちゃん」にも「えんがちょ」がでてきます。
不仲の2人の間で「えんがちょ」が使われていて、ここでは「不浄」という意味はなく「絶交」という意味で「えんがちょ」が使われています。
最近では「えんがちょ」という言葉自体を聞くことが稀になりましたが、時代物やドラマではなく上記のような子供向けのアニメ作品で使われているのをみると現代では子供の遊びのひとつとして多くの人々の記憶に残っているのでしょう。
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