仕事をする中で「勝手だな」「連携がとれない」と感じる同僚や部下はいますか?

組織での行動に対して、そのような違和感を覚えるのはあなただけではないかもしれません。

 

この記事では、一緒に働くことが難しい「無能な働き者」について解説していきます。

ネットスラングとして定着したこの言葉にはいったいどんな意味があるのでしょうか?

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日本人は無能な働き者が多い?

無能な働き者という表現について

 

いつからか「無能な働き者」という言葉がインターネットのなかで使われるようになりました。

ドイツの軍人であるハンス・フォン・ゼークトの言葉がもとになっています。

近年、ビジネス書やhow to本で組織論が話題となり、この言葉も有名になりました。

 

その働きにより組織に不利益を与えてしまう人のことを指します。

アニメで使用されたことからネット上にも広く知れ渡りました。

ネットスラングとして「やらなくていいことを積極的にやってしまう人」という意味で相手を罵るときに使用されています。

 

無能な働き者は4分類の中のひとつ

 

ゼークトが分類した軍人の種類には4つのタイプがあります。

 

まず、必要なことがわかっており自分がやるべきでないことを判断できる者は有能な怠け者とされます。

適度に手を抜きながら仕事ができる有能な怠け者は司令官に向いているとされます。

 

次にやるべきことを考え、自分で実行しようと試みる人は有能な働き者とされます。

参謀に向くといわれ、軍官にとって信頼できる右腕となり得ました。

 

さらに、自分で必要なことが思い浮かばず、できるだけ手を抜こうとする人は無能な怠け者とされ、連絡将校か下級兵士にすべきだといわれました。

有能な者に与えられた仕事をこなし、それ以上のことはしようとしないので、都合のよい存在だったといえます。

 

最も問題視されたのが無能な働き者です。

ゼークトは無能な働き者を銃殺刑にせよ、と説きました。

やるべきではないことをすすんで行い、集団のお荷物となる無能な働き者は排除すべき存在としたのです。

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なぜ日本人に無能な働き者が多いのか

 

会社に命を捧げて働くことがよしとされていた時代と違い、現在は仕事とプライベートをほどよくわけることがよいとされています。

 

それでも、一生懸命働く人が多いのが日本ではないでしょうか。

働き者とされてきた人たちはなりふり構わず、働き続けてきました。

その姿が美しいとされ、必死に働くことが美徳とされてきたのです。

 

しかし、そこに成果はありません。

私自身、小学生の頃から「一生懸命がんばれば、結果はあとからついてくる」と教師に言われてきました。

結果より過程を大切にする文化がそこにあるのです。

 

たとえ結果が伴わず、無駄な努力に終わったとしても勤勉、勤労、真面目に続けることがよしとされています。

 

無能な働き者が会社で使えない行動

 

さて、銃殺刑にされてしまうほど役に立たない無能な働き者は現代では何をしてしまうのでしょうか。

やらなくていいことをどんどん行ってしまう同僚や部下、はたまた上司に思い当たる人物はいますか?

 

無能な働き者の特徴は、やらなくていいことを自己判断し結果が伴わない働きをし続けてしまう点にあります。

また自分では「よかれと思って」働いているため誰かに相談することもありません。

その行動を止める機会がないのです。

 

無能な働き者に頭を抱えさせられるのは、以下のような行動です。

 

まずは「よかれと思って」の自己判断です。

会社でも軍隊でも有能な怠け者が「必要だけど、自分で動くほどのことでもない」と判断した仕事について部下に指示を与えます。

部下がすべきことは指示されたことを的確に遂行することです。

 

無能な働き者はここで指示された仕事に「よかれと思って」勝手な判断を加えます。

取引先にメールを頼んだだけなのに「電話のほうが早いと思って」電話をかけてしまう、運転を頼めば「こっちの道のほうがいいと思って」ルート変更をするなど言われてもいないことを勝手にやってしまいます。

 

更に自分では指示されたゴールへ向かって進んでいるつもりになっているので、報告や相談がありません。

仕事をする上で必要なホウレンソウを怠ってしまうのです。

そうしてひとり、どんどん見当違いな方向へ進み続けます。

 

もともと有能でないのですから、こうした行動は大変非効率な場合が多いです。

単純な仕事だったはずが、どんどん迷路へ迷い込み結果として残業したり仕事を自宅に持ち帰ったりします。

 

働き者であることに違いはないので、自分の行動が見当違いであることに気づかず「自分ばかり仕事が多い」「苦労している」と上から目線になり、挙句の果てには「自分の仕事が多いのは上司の指示が悪いからだ。」と責任転嫁し始めます。

 

自分の判断ミスや勝手さを顧みることがないのです。

もしかしたら顧みることができないのかもしれません。

目先の残業や労働に追われ、結果への見通しを立てることができないのです。

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無能な働き者の性格的特徴

 

無能な働き者には無能たる理由があります。

仕事に対して、いわばアレンジを加えてしまうためシンプルに成果へ行きつくことができず、ミスが増えます。

指示に対して手順を増やせば増やすほど間違いが生じる可能性が高くなるのです。

 

しかし、無能な働き者は働き続けます。

とにかく行動をやめません。

振り返る機会がないため、失敗から学習することができず自分がどこで道を間違えたのかわからないままなのです。

 

 

また、無能な働き者は自分が働き者であることを知っています。

そのため、がんばれば仕事が終わる自信があり仕事を持ちかけられると安請け合いしてしまいます。

やるべきことを判断できる有能な人と違ってある意味受け身であるといえるでしょう。

 

能力を超える仕事量を受けてしまうので、どの仕事も詰めが甘く「一生懸命やった結果の失敗」だけが残ります。

失敗を振り返れない人間は空気を読むこともできません。

働き者の自分に対するプライドがあり、他人への配慮に欠けるためです。

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もしかして無能な働き者になってない?自己診断してみよう

 

ここまでの文を読んでピンときた方、無能な働き者に困っている有能な人かもしれません。

しかし怖いのは自分が無能な働き者だった場合です。

 

簡単な自己診断をしてみましょう。

 

①仕事を人に任せることができない。

自分ではできないほどの量を請け負っていませんか?

または人に何を任せていいかわからず、自分でやるしかなくなってしまうことがあるのではないでしょうか?

やるべきことを整理できないのは無能な働き者への入り口です。

 

②なんでも一度にやろうとする。仕事に優先順位をつけることができない。

与えられた仕事全部に手を付け、どれも終わらなかった経験はありませんか?

納期に間に合わず、残業で帳尻を合わせることになってしまうかもしれません。

 

③作業の進捗状況を上司に報告しない。

無能な働き者は指示を仰ぐことが苦手です。

根拠なく「きっと終わるだろう」と考えるため、報告は後にまわしがちです。

 

④他人と会話することが苦手である。

無能な働き者はプライドが高いことが多いです。

人に合わせて会話をすることができないため、コミュニケーションを苦手とします。

 

⑤「忙しそうだね」はほめ言葉である。

仕事を終わらせることではなく、仕事をすることが目的になっていませんか?

無能な働き者は作業を複雑にしていく癖があります。

その結果、他の人からは「忙しそう」な印象になるのです。

 

⑥先輩に面倒な仕事を押し付けられる。

「なぜこれをやらなければならないんだろう?」というような仕事が回ってきませんか?

あなたを重大な仕事から遠ざけるために時間稼ぎの仕事を与えられているのかもしれません。

それさえもミスを犯してしまったら、重症です。

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無能な働き者はアスペ?発達障害であるアスペルガー症候群とは

 

アスペルガー症候群をはじめとする発達障害は広汎性発達障害といわれています。

広汎性発達障害の特徴はコミュニケーションに障害があることです。

 

ネットで言われるコミュ障とはまた違い、相手の意図をくみ取れないことやどうしても視線を合わせられないことなどがあります。

協調性に欠けると言われることもありますが、他者の存在感が薄く自分の目的以外気にかけることができないというほうが近いでしょう。

 

広汎性発達障害はコミュニケーション障害に加えて知的障害や言語発達の遅れがあるものを自閉症、知的に問題がないものをアスペルガー症候群といわれます。症状は二極化しているわけではなく、グラデーションを描くように広範囲にわたるため、全体を広汎性発達障害といいます。

 

幼少期に診断されることもありますが、大人になってからコミュニケーションがうまくいかないことを要因としたうつ病にかかりよくよく調べた結果、広汎性発達障害があったと判明することもあります。

 

こだわりが強く偏執的な性格で、運動能力にも偏りがあるといわれます。

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上司が無能な働き者だった場合

 

同僚や部下が無能な働き者だった場合は、直接ミスを指摘しやすいですが上司がそうだった場合はなかなか面倒です。

突然方針を変えたり、作業中の業務に関して連絡なく手を加えたりするためです。

上司が無能な働き者だった場合はどうしたらいいのでしょうか。

 

まず、上司の行動パターンをチェックします。

いつも何をしているか、どんな働きをしているか観察するのです。

自分だけでなく周囲の人と協力して、仕事の邪魔をされないように先回りして行動しましょう。

 

余計なことをされる前に釘を刺しておくのが無難です。

無能な働き者である上司は自分は仕事ができると思っているため、あくまで上司の立場を立てて「ご配慮いただきありがとうございます。○○のように進めてまいります。」と自分の方針をさりげなく伝えましょう。

 

「部長にはこの部分を確認していただきたいと思います。」と先に役割を与え、限定した仕事を割り振るのも手です。

「○○の際に、一言いただけますか?」と具体的にタイミングを示して報告をもらいましょう。

 

自分が無能な働き者にならないことももちろん重要ですが、無能な働き者に振り回されないために自分を守る手段を知っておくともっと働きやすくなるかもしれません。

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