「歩くのが人より遅くて困っている」
「なかなかランニングのピッチが上がらなくなって悩んでいる」という方はいませんか。
歩き方や走り方を改善する上で欠かせないのが「歩幅の見直し」です。
歩幅は私たちの健康に直結する重要なデータなのですが、自分自身の歩幅を把握していますか?
この記事では自分の歩幅を知る方法や一般人の歩幅の平均、歩幅を広げることで得られるメリットについて解説します。健康改善のためにもぜひご一読下さい。
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目次
一般人の歩幅の平均はコレ
まずは一般人の歩幅がどれくらいなのか、その平均値についてご紹介します。
歩幅の定義
歩幅とは歩く時や走るときに開く右足と左足のつま先からつま先の間の距離を指します。
一般的には歩幅は身長が高ければ高いほど大きくなる傾向があるといわれています。
また同じ身長だと、より足の長い人の方が歩幅が大きくなります。
つまり胴長短足な体系よりも股下が長い人の方が歩幅は広いと言うことです。
さらに男女の性別や年齢、健康状態などによっても歩幅はかわってきます。
男性の歩幅の平均値
日本人男性の歩幅の平均値は次のようになります。
20代の平均歩幅 74~75㎝
30代の平均歩幅 72~73㎝
40代の平均歩幅 71~72㎝
50代の平均歩幅 66~69㎝
60代の平均歩幅 61~64㎝
70代の平均歩幅 54~58㎝
女性の歩幅の平均値
日本人女性の歩幅の平均値は次の通りです。
20代の平均歩幅 61~65㎝
30代の平均歩幅 60~61㎝
40代の平均歩幅 58~60㎝
50代の平均歩幅 56~58㎝
60代の平均歩幅 53~54㎝
70代の平均歩幅 47~50㎝
女性の70代で平均歩幅が約47cmとなっています。
男性の同じ70代と比べてみても、7㎝もの差があります。
とはいえ若い頃から運動する習慣がついていた人の歩幅はやはり広いままです。
歩幅が狭くなると歩くスピードも落ちて転倒しやすいと思う人もいるようですが、歩幅が狭くて転倒するのではなく、障害物に当たって転倒する割合の方が多いです。
障害物を認識する能力と転倒する確率が関係してきますので、歩幅についてはそこまで心配することはないでしょう。
シーン別歩幅の測り方
計算でも大体の自分の歩幅がわかりますが、実測することでより正確な数値を知ることができます。
シーン別に歩幅の測り方をご紹介します。
屋内で測る方法
10歩歩いた距離を測り、その距離を歩数で割って一歩の平均を算出します。
歩く時はまっすぐ歩くようにしましょう。
たとえば10歩で6.0m進んでいた場合、「6.0(m)÷10(歩)=0.6(m)」となります。
つまり歩幅は約60㎝となります。
測り方ですが、スタート地点の床にかかとが接する部分にガムテープを貼って目印とします。
そのまま真っ直ぐに10歩進んだ地点で立ち止まり、メジャーで距離を測り計算します。
屋外で測る方法
屋外で測る場合は歩数計があると便利です。
あらかじめ歩くと決めた区間の距離を測っておき、今度は歩数計で歩数をカウントしながらその距離を歩きます。
あとは「区間の距離÷実際にカウントした歩数」で歩幅が割り出せます。
たとえば30mの区間を43歩で歩いた場合は「30(m)÷43(歩)=0.697(m)」となります。
つまり歩幅は約69.7㎝です。
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歩幅の計算には身長が大きなカギ
歩幅のだいたいの目安については、身長をもとに計算して算出することができるといわれています。
いくつか方法がありますが、まず最も簡単な計算方法が「身長からマイナス100の引き算」で算出する方法です。
たとえば身長165㎝の人の場合、「165-100=65」となり、歩幅は約65㎝です。
他に身長に係数をかける掛け算で算出する方法もあります。
この場合、「身長×0.45」となります。
この場合、身長165㎝だと「165×0.45=74.25」となり、歩幅は約74.3㎝です。
歩くスピードによって係数を変えることもできます。
早歩きの場合は0.5、ゆっくりの場合は0.4、普通の場合は0.45です。
ピッチとストライドの言葉の意味をしっかり把握
歩幅に関係して、陸上競技にはピッチとストライドという考え方があります。
どんな意味を持つ言葉かしっかり把握することで、練習の軸となります。
それぞれの意味とメリット・デメリットについて解説します。
ピッチの意味
ピッチとは歩数の事を示します。
自転車でたとえると、車輪の回転数に相当します。
ランニングの世界で「ピッチ走法」とは、歩幅の間隔を短くして回転数を上げる走法を指します。
ピッチ走法のメリットは、身体を上下に揺する動きが極力抑えられるため、足が地面に着地する際の衝撃や腰への負担が少なくて済むという点です。
リズムをつかみやすい走法なので、速度調節も比較的容易いです。
そのため体格が小柄なために筋力が大柄な人に比べて低い人、つまり日本人に適した走法であることから国内の陸上競技会でよく見かける走法です。
ピッチ走法のデメリットとしては、歩幅が小さいために歩幅が大きい人に比べると歩数が多くなります。
回転数が多くなる分、体力消耗が激しくマラソンなどの持久力勝負の競技では弱点となります。
ストライドの意味
ストライドとは歩幅のことを意味します。
ランニングの世界で「ストライド走法」とは歩幅を広くして走るフォームを指しています。
ストライド走法のメリットとしては、歩幅がひろいためにスピードアップを測ることができる点が挙げられます。
ストライド走法のデメリットとしては、体が縦方向にも横方向にもブレやすくなることです。
体がブレると地面に足が着地したときの足や腰にかかる衝撃が大きくなり、怪我や故障を起こしやすくなるといわれています。
また歩幅が広いために、走っている途中で走るスピードを変えるとフォームが乱れる原因となりやすいです。
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ランニングの歩幅の計算は測定方法が違う
歩幅の計算方法についてご紹介してきましたが、ウォーキングとランニングではまた条件が違ってきます。
ランニングの歩幅の測定方法は次の通りです。
ランニングの際の歩幅は普段歩幅と異なる
ランニングの際は歩く時とはまた歩幅の計算方法が異なります。
歩くのと走るのとではまたフォームが変わってくるからです。
さらにランニングに不慣れな初心者とアスリートでも大きな違いがあります。
たとえばストライド走法の場合、初心者の歩幅は100㎝くらいですが、慣れた人だと約150㎝にもなります。
一歩毎に50㎝も差が開いていくわけなので、その違いが分かるかと思います。
陸上競技界の大スターであったウサイン・ボルト(ジャマイカ)選手が2009年に100m走で世界新記録を出したときのトップスピードの歩幅はなんと「275㎝」でした。
2位の選手で248㎝です。
ランニングの際の歩幅の計測方法
ランニングの際の歩幅(ストライド)はトラックを1㎞走った際の歩数とかかった時間から割り出します。
歩数(ピッチ)についてはトラックを走る際、1分間に足を何回転させたかで計測します。
そのため実際に走って測定する必要があります。
たとえば1㎞走るのに10分間かかり、歩数が800歩だった場合は次のような計算で歩幅を割り出します。
800歩÷600秒(10分)×60=1分間の歩数が約80歩
100000㎝÷800=一歩の歩幅125㎝
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足並みを揃える行進の歩幅のルール
集団行動で行われる基本訓練の1つに「行進」があります。
軍隊などでは1つの目標に向かってどれだけ連携が取れるのかが重要であり、歩調を全て合わせた一糸乱れない行進は軍事パレードや儀式での花形でもあります。
現在では軍隊以外でも、学校やその他の集団行動が必要とされる場所で行われている行進ですが、全員の歩調を合わせるために歩幅を厳密に決めているところもあります。
各団体事にどんな歩幅のルールがあるのかみていきましょう。
自衛隊の歩幅のルール
陸上自衛隊では行進の際、歩幅を75㎝、振る腕の角度を45度と定めています。
ただしこの歩幅は男性隊員のもので、女性隊員は70㎝で統一されています。
しかも一秒間に2歩と歩数まで定められています。
自衛隊では企業の研修を受け容れているところもありますが、そこでも同じルールで行進の訓練を行っています。
消防隊の歩幅のルール
消防訓練礼式によると、歩幅は踵から踵までを測ったときの広さが70㎝になるようにと定められています。
現場では歩幅は関係ありませんが、消防隊員が連携して現場で動けるように数々の訓練が行われていますが、その訓練に関する規定になります。
日体大の歩幅のルール
「日体大」で親しまれている日本体育大学では、2年に1度「体育研究発表実演会」を開催しています。
このとき観客に披露される集団行動が軍隊並みにスゴイ練度だと評判を集めています。
かなり厳しい訓練が行われるようですが、行進の歩幅は95㎝と定められています。
自衛隊よりも大きい歩幅ですが、日体大にはかなり体格の良い学生が集まっていますので、納得の歩幅です。
マーチングの歩幅のルール
行進しながら打楽器と管楽器を演奏する演技種目をマーチングと呼びます。
時にはダンスや旗のパフォーマンスも加わります。
日本国内の競技会といえば「全日本マーチングコンテスト」(全日本吹奏楽連盟による)ですが、こちらの大会規定では2015年に改定されたルールでは56.25cmの歩幅となっています。
改定以前は62.5cmの歩幅でしたが、小学生でも参加できるようにと大会規定が改定されたために歩幅が変わっています。
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歩幅を広げて歩くだけで6つのメリットがある
たとえ5cmであっても歩幅を広げて歩くことに様々なメリットがあります。
どんなメリットがあるのか解説します。
スピードアップになる
歩幅が広がると特にランニングの時のスピードアップが期待できます。
また一歩が大きいですので体力の消耗を抑えることが可能になります。
全身運動になりカロリー消費量がアップする
歩幅が広くなると、それにあわせて上半身のはたらきも変化します。
特に腕振りが大きくなります。
足だけではなく全身を活用することになるので、歩幅が広くなると歩くだけでただ単に歩いているよりも消費カロリー量がアップし、ダイエット効果の高い有酸素運動に変わります。
また脂肪燃焼だけではなく、ヒップアップや太ももの引き締め効果も期待できます。
中高年の脚力強化
歩幅を広げてあるくと、股関節だけではなく下半身の筋肉や腰回りの筋肉も柔軟になります。
そのため体力が落ち始めた中高年でも無理なく脚力を上げることができます。
姿勢矯正
歩く際に下半身や腰回りの筋肉が鍛えられます。
正しいフォームで歩幅を広く歩けるようになれば、自然と姿勢もよくなります。
キレイな歩き方を手に入れたければ、歩幅を広くするのが近道です。
認知症、アルツハイマーの予防
アルツハイマーの発症には様々な要因が考えられていますが、そんな要因のひとつに「普段の運動不足」が挙げられています。
特に普段あるスピードが遅い人ほど発症のリスクが高まるのではないかとも考えられています。
そのため認知症やアルツハイマー予防のためには速歩が効果的な可能性があります。
だいたい1秒間に1m以上、歩幅でいうと70㎝以上を目指すと速歩と呼べるでしょう。
心肺機能の強化
歩幅が狭い人よりも広い人の方が、血行やリンパの促進効果が期待できます。
血流やリンパの流れが阻害されると疲労物質が体内に蓄積されたり、体の中の諸機能を維持するために必要な信号や栄養素が行き届かなくなってしまいます。
しかし歩幅を広くするとその分運動量がアップするので血流改善が期待できます。
その結果、心臓や肺に流れ込む血流もスムーズになるので心肺機能をアップさせることができるのです。
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歩幅を広げるトレーニング方法6選
歩幅を広げたいと考える人向けに、トレーニング方法をご紹介します。
ハムストリング
ハムストリングとは大腿二頭筋・半膜様筋・半腱様筋の総称で、下半身の裏側部分にあります。
うつぶせになってこのハムストリングを鍛えることで、一歩で進める跳躍の距離を伸ばすことができます。
ただしハムストリングの訓練は素人には難しく、専門知識を持ったトレーナーの指導の下で行わなければ思わぬ体の故障をまねきます。
独学での訓練は避けましょう。
股関節屈筋のトレーニング
股関節屈筋は下半身の表側を構成する筋肉です。
部位によってさらに細かく大腰筋・腸骨筋・大腿直筋などに分けられます。
仰向けになってこの股関節屈筋を鍛えることで、両足の開脚角度を広げることができます。
開脚角度が広がると、一歩が自然と大きくなるので歩幅を広げることができます。
ハムストリングの訓練同様、股関節屈筋のトレーニングも専門家の監修が必要な訓練です。
カーフストレッチ
ふくらはぎの柔軟性をアップさせるためのトレーニングです。
くわしい方法は次の通りです。
①仰向けになり両手両足を床につける
②左右の足を交差させ、腹筋を凹ませ3秒静止する
④左右の足を交互に組み替える
①~④を1セットとして、1日3セット行います。
スコーピオン
体を旋回させるトレーニングで、体の可動域を広げます。
スコーピオンの方法については次の通りです。
①腹ばいに体を伏せ、両手両足を大きく広げる
②腰にひねりをくわえながら片足を直角に曲げ反り返るように上げていく
上体(顔や頭など)が浮かないように注意
③足を上げたまま3秒静止する
④①の姿勢に戻り、反対側の足を今度は動かす
①~④で1セット、1日に3セット行います。
ニーハグ
ニーハグは旋回運動になります。
体の可動域を広げるのに必要なトレーニングです。
①両手で右足の膝の部分を抱える
②左足を少し曲げ、反動を付けないようにして真っ直ぐに伸ばす
このとき上体が揺れないようにする
③真っ直ぐ伸ばした左足を3秒間静止させる
①~③の動作を今度は左と右を交代して行う。
左右一回ずつで1セットとして、1日に約3セット行いましょう。
スクワット
スクワットは下半身の筋肉を鍛えるトレーニング方法です。
下半身を鍛えるに伴い、股関節が柔らかくなりきちんとした姿勢をキープできるようになります。
柔軟性のある股関節が歩幅を広げるためには重要になります。
正しいスクワットの方法は次の通りです。
①足を肩幅より少しだけ広くひらいて立つ
②両手を真っ直ぐ体の前に伸ばし、そのままの姿勢で腰を落とす
③床と太ももの上の部分が水平になる位置で姿勢を3秒キープする
④元の位置に戻る
①~④の動作を1回として、10回で1セットです。
まずは1日に3セットほど行い、慣れてきたら回数を増やしましょう。
しゃがむ動作の時に膝が前に出ないように注意します。
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