「ひよる」という言葉を最近インターネットなどで良く目にしたりする事がありませんか。
主に若者の間で使われる言葉になりますが、一体どのような意味でどのような場面で使われている言葉なのでしょうか。
今回は「ひよる」という言葉の意味や特徴、類語などについても見ていきましょう。
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目次
ひよるとはどういう意味?
まずは「ひよる」の意味について見ていきましょう。
漢字で書くと「日和る」になり、「日和(ひより)」が動詞化したものになります。
これは「日和見(ひよりみ)」という言葉から由来していると言われています。
日和見とは昔、船の船頭が天候を見ながら船を出航させるかどうかを決めていたことから「物事の成り行きを見て、有利な方向へ進む」という意味があります。
その事から「ひよる」の本来の意味としては「物事の有利な方につく」「都合のいい方へ行く」というような意味を持っています。
しかしながら、現代の意味で「ひよる」は使い方が少し異なり、「ひ弱」という言葉から連想されて使われた事から、「びびる、怖気づく、弱気」など弱い立場の言葉として若者の間で使われる方が多くなっています。
このように「ひよる」という言葉は昔も今も意味は少し異なってきますが、変わらずに使われている言葉になります。
「物事の良い方につく」「ビビる」「怖気づく」などの意味を持つ言葉であることから、「ひよる」という言葉はあまり良い意味の言葉としては用いられない言葉になります。
「ひよる」の昔と今の若者の言葉の使い方が少し違う事を知ったところで、次にひよるの語源について見ていきましょう。
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ひよるの語源は日和見主義
ひよるの語源は「日和見主義(ひよりみしゅぎ)」という言葉が語源となっています。
この日和見主義という言葉は60年代から70年代の学生運動が盛んだった全共闘時代に使われていた言葉です。
その当時は政治的思想を巡って言葉や武力でぶつかっていた時代だったのですが、その際に自分の意見を主張して中立の立場に立ち、意見の主張を一旦保留にする事もありました。
この事を「日和る」と呼んでいたそうです。
中立になるという事は「自分を守る立場に立ち、良い方へ転がる」という事になりますね。
中立の立場ではありますが、それが戦略的に中立になったのか、それとも学生運動のデモに怖気づいて中立の立場に寝返ったのかは分かりませんが、
デモに参加する仲間だった人間が突然来なかったなんてことがあれば、「あいつ怖気づいたな」なんて思われる事もなくはなかったでしょう。
ここから「日和る」が「怖気づく」=「びびる」というような意味で使われていったのかもしれません。
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現代の若者には理解不能の学生運動って何?
現代の若者には「学生運動」そのものが聞き慣れない言葉でしょう。
「日和る」という言葉の語源になった学生運動についても少し触れておきます。
学生運動は戦後の日本(1960年代~70年代)の大学生の間で盛んになったものです。
最初は大学改革が目的で行われた運動でした。
その内容は医大卒業生のインターン制度反対、学費の値上げ反対、大学の自治要求などの大学に直接関係する問題に対する運動でした。
しかしながら次第に運動は激化し、ベトナム戦争や日米安全保障条約への反対など目的が政治的思想へも移り、政治運動などの大学生活とは関わりのない運動も行われるようになりました。
中には当時の「流行り」だから、「流行りに乗ればモテる」などという軽い気持ちで学生運動に参加した若者も中には居た様です。
学生運動は後期になる程、新左翼的思想な強まっていき、過激で暴力的なものに変化していきました。
運動の中では死者も出る程、激しいものもありました。
その中で「流行り」「モテる」などの理由で参加した人は確かに運動に「怖気づいて」しまう方(=ひよる人)も中にはいたでしょう。
過激で暴力的だからといって、学生運動をしていたのは男性だけではなく、中には女性ももちろん居たようです。
時が進むにつれ、大学生に直接関係のある問題に対し、大学側の歩み寄りや態度改善によって学生運動は完全に失速していきました。
現在では、政治的思想に対する学生運動などはほとんどないと言えるでしょう。
映画やドラマなどで題材として取り上げられたりもする学生運動。
今でこそ平和な学生生活を送っている方の多い日本ですが、過去にはこんな激動の時代があったのですね。
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ひよるって訛りっぽいけど方言ではない
「ひよる」という言葉の意味や語源について触れていきましたが、「ひよる」という言葉は使っていると「訛り(なまり)」言葉のように聞こえませんか。
しかしながら一般的に使われている「ひよる」は訛りではありません。
「か弱い」「ビビる」などの弱気な言葉で使われる「ひよる」は全国共通の言葉であり、若者の間で使用されている「日和見」から派生した新語です。
一方で実は「訛り」として「ひよる」を使用している地域もあります。
ひよるは「富山弁」の中で「力が加わって曲がる」という意味で使われている言葉でもあります。
実際に若者の間で使用されている「ひよる」とは全く意味が異なる言葉になりますので、注意が必要です。
訛りのようで訛りではない「ひよる」という言葉。実際に多く使われているのは若者の間での会話やインターネットやSNS上になります。
次項ではひよるの若者言葉としての使い方の例を紹介していきます。
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ひよるの若者言葉としての使い方例を紹介
では次に実際の「ひよる」の若者言葉としての使用例を見ていきましょう。
使用例:1「昨日先輩に呼び出されてマジひよった」
これは「昨日先輩に呼び出されて、マジでビビった(びっくりした)」という意味の言葉です。
「ビビる」という言葉を「ひよる」という言葉に置き換えて使用しています。
ビビるに置き換える事は良く使用される例でしょう。
使用例:2「勉強する気がマジひよった」
こちらは「勉強する気が本当に失せた(怯んだ)」という意味で使用しています。
気持ちが失せる事に対しても使われています。
使用例:3「トラブルに巻き込まれそうだから、ここらでひよった方がよさそうだな」
これは「長い物には巻かれろ」ではありませんが、いい方向に自分が動いていた方が得策だな・・と思う際に使用される例になります。
使用例:4「あの強い先輩がいるから、こっちのグループにひよった」
「強い先輩がいるから、自分はこっちのグループに行った」という事になります。
とにかく自分は強い方へ(有利な方へ)移動したという事になります。
「ひよる」「ひよった」という言葉は様々な場面で使用されています。
ここで注意したいのが似た様な言葉で「ピヨる」という言葉があります。
この「ピヨる」という言葉と「ひよる」を同じ様な意味で使用している人もいますが、実際には二つの言葉の意味は異なります。
「ピヨる」も同じ新語ではありますが、意味としては「意識もうろうとなる」「気絶する」などの意味で使用されています。
格闘ゲームなどの中で攻撃を受け続けたキャラクターが、頭の上で小鳥が「ピヨピヨ」と鳴きながら飛ぶような場面を見たことはありませんか。
その様子から生まれた言葉とされています。
混同して使用している若者も多くいるようですが、意味が違いますので注意が必要です。
元々はインターネット上などで使用されている若者言葉です。
ひよるはマイナスな意味を持つ事から「死語」ともされています。
社会人としての日常会話ではあまり好ましくない言葉とも言えるでしょう。
友達同士の気軽な会話では使用しても構いませんが、時と場所をわきまえて使用する事が大切と言えるでしょう。
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ひよるの類語や同義語をチェック
次に「ひよる」の類語や同義語にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
先述でもお話したように「ひよる」という言葉には昔の意味合いでは「物事の良い方向へいく、寝返る」、若者言葉では「ひ弱」「怖気づく」などの意味を持つ事をお話しました。
このような意味を持つ類語や同義語は以下のようなものがあります。
洞ヶ峠(ほこらがとうげ)を決め込む
これは「物事の良い方向へいく」という意味と同じように使用される言葉になります。
これは昔、有名な「本能寺の変」の後に明智光秀の友人であった「筒井順慶」という大名の行動から取られた言葉になります。
友人であった明智光秀に味方になるように誘いを受けていた順慶ですが、争っていた羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)と明智光秀の重要な戦い(山崎の戦い)において「洞ヶ峠」に布陣し、二人の戦の様子を伺います。
結果、順慶は羽柴秀吉側につくのですが、この出来事を後に「日和見(ひよりみ)」であると言われ、「洞ヶ峠を決め込む」という言葉まで生まれました。
様子を見て、自分の有利な方へ付くという言葉はかなり昔から使われるようになったのが分かりますね。
風見鶏(かざみどり)
まるで風見鶏のように風が西から東、東から西に向きをコロコロと変えるように周囲と同じ方向に合わせて都合の良いように動く様を表す言葉になります。
「ひよる」や「洞ヶ峠を決め込む」と同様に使われる言葉になります。
節操がない
基準とする意思を貫こうとしない様子、意思が薄弱な様子を表しています。
「洞ヶ峠を決め込む」「風見鶏」と同様の意味で使われます。
ご都合主義
言葉通りの意味で都合の良い方にいく主義の人を指す言葉になります。
「洞ヶ峠を決め込む」「風見鶏」「節操がない」などの言葉と同義語になります。
軟弱、惰弱(だじゃく)
ひ弱、怖気づくなどと同様に使われる言葉になり、先述の「日和見」のような意味とは違い、若者言葉である「ひよる」に近い意味になります。
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ひよりやすい人の5つの特徴
「ひよる」という言葉の由来や意味、同義語などに触れていきましたが、最後に「ひよりやすい人」の特徴について5つ見ていきましょう。
繊細である
繊細である人は細やかな気遣いが出来ます。
その反面、些細な事にも敏感であると言えます。
良い事に反応する場合は良いのですが、悪い事にも敏感に反応するので、マイナスに触れてしまうとどんどんネガティブになりますので、ひよりやすい人と言えるでしょう。
感受性が豊かである
感受性が豊かな人は相手の気持ちを受け取りやすい為、ネガティブな感情やマイナスな思考を受け取った際に傷つきやすかったり、落ち込みやすくなり、すぐに「ひよってしまう」傾向にあります。
何事に対しても経験が少ない
何事に対しても経験の少ない方は、未経験の事が多いので、新しい事をする際にも恐怖心の方が勝ってしまい、決断力に欠けるので、すぐにひよってしまいがちです。
何事もまずは経験というのはとても大事なのかもしれませんね。
穏やかで気弱な人
基本的に穏やかな人は争いごとが苦手で、常に中立の立場や多数派の方へ移動しがちです。
時に自分の意見を言えずに流される事もあるので、どうしても「イエスマン」になりがちとも言えます。
強い方へ移動し、反論など出来ない気弱な人も多いので、何か争いがあるとどうしてもひよってしまいがちになります。
計画性がない人
計画性がない人は常に行き当たりばったりで物事を決めてしまう為、何かトラブルがあった際に対処できずに逃避したり、人のせいにしてしまったりとすぐにひよってしまいがちになります。
逆に物事に対してきちんと計画的に進める事が出来る人は、問題があってもきちんと軌道修正が出来、冷静に対処できます。
ひよりやすい人が悪いわけでは決してありませんが、ネガティブな心が常に先行すると自分にとって大切な事を見落としてしまう可能性もあります。
当てはまる事がある方は、少し意識して行動してみるのも良いでしょう。
いかがでしたか。
「ひよる」という言葉は昔から現代まで長く使われている言葉ですが、その使われ方は時と共に少しづつ変化している事が伺えます。
出来るだけ間違った使い方をしないよう、正しく日本語を使って美しい言葉を話すように努力したいものですね。
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