目次
- 1 人間不信とはどういう意味か
- 2 人間不信を表す同義語や類語は多い
- 3 他人を排除する人間不信は否定的な考えに傾きやすい
- 4 人間不信に陥ると感情を表に出せなくなる特徴がある
- 5 不信感から人を試すような心理が働く
- 6 人間不信の原因第一位は恋愛で裏切り 克服法はコレ
- 7 騙された経験は人間不信の大きな原因 克服法はコレ
- 8 過去のトラウマが人間不信のきっかけ 克服法はコレ
- 9 ストレスが人間不信を招くこともある 克服法はコレ
- 10 自信喪失から考え方の歪みで人間不信に 克服法はコレ
- 11 人間不信度診断を症状からチェック
- 12 人間不信が克服できない時は病気の可能性も疑って
- 13 人間不信が病気と診断された場合は焦らず治療しよう
人間不信とはどういう意味か
人間不信とは、その字が示すとおり、人間を信用できないという状態に陥っている症状を指す言葉です。
人間不信というのは、なにも人間だけでなく、虐待等を受けた動物にも現れる症状です。
また、些細ないざこざで落ち込む程度の軽度なものから、他人と接すること全てに拒絶反応を示し、社会生活に影響を及ぼす程に重度なものまで、いずれも同じ人間不信という言葉で表現されることがあります。
その原因には、遺伝と環境が大きく影響します。
人間不信において遺伝するのは人間不信という症状ではなく、それを引き起こしやすくする出来事の捉え方や考え方、正確といった性癖です。
疑り深かったり内向的な性格、言葉の裏側を読もうとする癖等は、人間不信を招く可能性を高めますし、こだわりが強く他者の意見を受け入れられずに孤立を繰り返すことも、周囲への不信に繋がります。
しかしながら、人間不信を招くキッカケとなるのは、その人を取り巻く環境や経験です。
人間不信への理解を深めた後に、キッカケとなる経験毎に、克服方法を考えて行きましょう。
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人間不信を表す同義語や類語は多い
多くの人間不信の症状や状態を表現する言葉が存在します。
これは、人間の社会が複雑で、想定しない出来事が多いことと、人間の心が高度に進化したために与える側と受け取る側の捉え方に差異が生じてしまっていることによるものです。
幾つかの言葉について、考察してみましょう。
猜疑心
相手の行為などを疑ったり妬んだりする気持ちのことです。
相手の言動に同意できなかっったり振る舞い対して不快感を感じることがあります。
その場で解消できれば良いのですが、相手の圧力や状況によってそれが叶わず蟠りが募ってゆくと、その気持は違和感になり、反感に変わってゆくものです。
共感できない気持ちから閉鎖的になり、相手を理解しようとせずに相手自体を拒否してしまうことにもつながります。
疑心暗鬼
疑う心を持ってしまうと、存在しない暗闇の亡霊や鬼がいると思い込んでしまうことを表した言葉で、なんでもないことを疑ってしまったり、おそろしいと感じてしまうという意味で使われる言葉です。
相手への猜疑心が募ってしまうと、その言動も振る舞いも、全てが自分に対する不利益へと繋がってしまうように感じてしまうものです。
甘い言葉の裏側に、なにかとんでもない落とし穴が用意されているのではないかとか、何の得もないのに親切にして貰える筈がないと思えて来たりもします。
本来、考えなくても良いことまで想像してしまい、きっと、自分を陥れようとしているのだという邪推から、抜け出せなくなってしまいます。
厭人(えんじん)
他人との関わりや交わりを嫌うことで、人間嫌いそのものを指す言葉です。
特定の相手、或いは人言全体に対して信じることが出来なくなってしまうと、相手や社会に合わせて努力すること自体に意味を感じられなくなり、他人との交流を避けるようになることがあります。
人間を信じない、他人に期待しないといった気持ちから、社会から遠ざかり、厭人的な生き方を選択する人もいます。
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人間不信は人との付き合いが出来ない特徴が最大の悲劇
人間を信じられないならば、社会から距離を置いて生きれば良さそうなのものですが、社会は人と人との関わりを前提に成り立っているものです。
そのため、人との付き合いが出来ないことが様々な悲劇を生みます。
学校には、学年、クラス、班やグループといった単位が存在します。
自分が好むか否かに関係なく、それらの単位で競い合い、助け合うことを前提とした教育が行われる場です。
会社にも部署といった単位が存在し、お互いに助け合って仕事をしていますが、厄介なのは仕事そのものが依頼する側とされる側という両側面を持っているということです。
自分一人で仕事が完結しない以上、相手の思いや考えを受け取ることが出来ないと仕事が滞ってしまうことになります。
更に、自分が望んでいなくても、相手が自分に繋がる仕事をしていれば、否応なしに自分への接触をしてきます。
その接触に上手く対処が出来なければ、問題が解決するまで接触を繰り返す羽目になります。
集団との繋がりを拒否したままで社会生活を送ることは出来ません。
人との付き合いに感じる嫌悪感が強ければ強いほど、疲労感は増すばかりです。
疲れるからと言って人間関係を意図的に避けるのは、自らを社会から遠ざけ、孤独へと追いやっていることになります。
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他人を排除する人間不信は否定的な考えに傾きやすい
人間不信に陥ると、他人に合わせなければならないことの煩わしさから、人と距離を置いてしまうようになります。
自分にとっては避けているのは他人と合わせる煩わしさなのですが、周囲から見ると人間から逃げているようであり、そのせいでモチベーションを落としてしまっているかのように見えます。
その原因を取り除いてあげようとする親切心から近付いてくる人に対応することすら煩わしく、更に他人に背中を向けることになります。
この悪循環が、欲しくもないトラブルを呼び寄せることになるのです。
とにかく接点を減らしたい側からすると、歩み寄って来る人の言葉は全てが嫌悪感の対象で、その会話や相手との関係を続けたくない為に、共感の言葉やアドバイスにさえも、反論で返してしまうことになるのです。
これでは、どんなに寛容な相手であっても、悪印象しか感じ得ようがなく、声を掛けることすら諦め、遠ざかってゆくことになります。
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人間不信に陥ると感情を表に出せなくなる特徴がある
人間不信に陥った人は、感情を表に出すことを恐れるようになります。
それは、感情の動きを利用された経験による場合が少なくありません。
乗せられてお金を出して、更に乗せられてお金を出して、実は詐欺に持っていかれた経験であったり、悲しさや寂しさにつけ込まれて信用した相手から失敗を押し付けられた経験であったり。
心を許すと裏切られるという教訓に出会ってしまった人は、本音を隠すことで自然に心の動きを相手に読まれないように防御するようになってしまいます。
魅力的な相手には、顔色も、反応も読ませる訳には行きません。
そこにはどんな計算が隠されているか分からないのです。
そんな恐怖と戦いながら、人間不信は他人を拒絶する生き方を選択させます。
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不信感から人を試すような心理が働く
人間が信じられない人に信じたい相手が出来てしまうと、やってはいけないことが繰り返されるようになります。
それは例えば愛する人です。
愛する両親であったり、愛するパートナーであったり、絶対に他人には渡したくないという気持ちが大きくなり過ぎて、自分が嫌われていないことの確認が繰り返されるようになります。
例えば相手が自分を大切に思ってくれているなら心配してくれる筈だと、仮病や自傷行為によって確かに心配してくれることを確認します。
残念なことに、この確認行為は不安が募る度に行われ、その訴えは徐々に大げさなものになって行きます。
仮病の中身は軽い貧血やだるさであったものが、精密検査をしても原因が特定出来ない難病になり、不治の病へと重症化して行きます。
自傷行為も心配の仕方に満足出来ないと大胆になって行きますが、こちらは本当に命に関わることなので目を離すことが出来なくなります。
そして、何をしても嫌われないという安心感を手に入れるために、相手が嫌うような仕打ちも試してみるようになります。
時には、ありもしないデマの情報を流布して、パートナーもろとも社会から隔絶させ、「貴方の為に悪者たちから守ってあげた」とばかりに自分の存在が必要不可欠であることを認めさせようとします。
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人間不信の原因第一位は恋愛で裏切り 克服法はコレ
信じていた相手による裏切りは、人間不信の原因の多くを占めるものです。
特に、その対象が恋人だったならば、その存在が大きかった為にダメージは計り知れません。
その人だけを見ていた、きっとその人も自分だけを見てくれていると信じていた相手が浮気をしたら、一体自分の信じていたものは何だったのでしょう。
その人だけを見ていた相手に失恋したら、その瞬間から何も見えるものが無くなってしまいます。
恋愛は、それ以外のものが見えなくなっていればいるほど、それが叶わなくなった時に奪われるものが大きくなります。
だからこそ、溺れない恋愛をすることが大切です。
それは、相手に一定以上の距離を置くとか、信頼し過ぎないとかいうことではありません。
どんなに近付いても相手にのめり込むことなく、しっかり自分の視野を持つことです。
信頼と依存を履き違えてはいけません。
出会いに対して必要以上に警戒心を持つということでもありません。
どんどん出会いを楽しみましょう。
ただし、その出会いに呑み込まれ、振り回されないように自分をしっかり持ちましょう。
それが出来るのは、いつでも、なんでも相談のできる友達を持つことです。
友達の応援の声は、不必要な不安を取り払ってくれますし、少し後ろから眺めてくれていることによって、常識に照らし合わせたチェック役にもなってくれます。
時に、恋人との関係を俯瞰させてくれる友達の存在は、恋人ヘの余計な負担を呼び込まないことにも繋がります。
恋人と友達はどちらが大切と比較するものでなく、どちらも大切な、両立されていて然るべきものです。
のめり込まない自分を意識させてくれる友達の存在は、恋愛を支えるためにも大切なものです。
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騙された経験は人間不信の大きな原因 克服法はコレ
人から騙されたという経験もまた、人間不信になる大きな原因の一つです。
うまい話に乗せられて金銭を騙し取られたり、そんなつもりで書いた訳ではない名前を利用されて責任を押し付けられる羽目になったり、薦められるままに購入したものが、実は価値の無いものだったりすることがあります。
自分の判断に自信がなくて相手の言葉を信じたのだとしても、契約に残るのは自分の名前です。
招いた結果が自分の気持ちにそぐわなかった時、自分が騙されたと感じ、人間を信じられなくなります。
しかし、詐欺の語り口調は巧妙で、話に共感してしまった人には客観的な判断が難しくなってしまうものです。
まるで自分の味方であるかのように上手く勧誘されると相手を信じ切ってしまい、相手の言葉に疑問すら感じなくなってしまいます。
そんな時の「運命共同体ですから」や「他の人には内緒ですよ」は親密感を高める誘い文句で、注意が必要です。
本当に運命や秘密を共有出来る相手なのかの見極めが必要だった筈です。
人間不信の原因が人から騙された経験によるのなら、相手を見極める目を持つことで克服することが出来るでしょう。
自分一人では見極められなくても、信頼できる家族や親友が一緒なら、きっと客観的な判断に手を貸してくれる筈です。
人から騙されたことによって人間を信じられなくなっているのなら、家族や親友といった信じることが出来る味方の存在を自覚し、自信が無いときには一緒に判断してもらえる関係を築きましょう。
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過去のトラウマが人間不信のきっかけ 克服法はコレ
過去のトラウマが人間不信のきっかけになることも少なくありません。
トラウマの要因として、いじめや繰り返される暴力は想像しやすいものですが、早いうちに気付いて状況を改善することでトラウマになることを避けることが出来ます。
しかし、実際には学校での友達同士の悪ふざけが、本人にとってはいじめや暴力に感じられることもあって、周囲が気付きにくく、放置されている間にトラウマとなってしまうことも多いようです。
また、同じように周囲からは見えづらい家庭環境の中では、本人が受けた虐待だけでなく、親同士の喧嘩やテレビで見た暴力的な映画やトラマのシーンなどもトラウマとなって残ることもありますし、しつけという名目で自分の苦手なものを強要され続けた結果がトラウマとなることもあります。
こういった幼少期に受けたショックが解消されることなく引きずってしまうことにより、人間の優しさを期待しない、人間不信へと導きます。
トラウマは、人間の持つ多面性を理解していない幼少期ほど強く残り、人間の優しさを期待しない期間が長くなるにつれて悪化して行きます。
ショックを受けた時と同じ心象を感じただけで、その時の状況がフラッシュバックし、その気配を感じ取っただけでも警戒心を覚えてしまうようになります。
トラウマを抱え続けたことによって、強く、堅く残ってしまった人間不信を取り除くには、そのトラウマによるフラッシュバックがもたらす苦しみに対する理解者が必要です。
家族や親友がそれを受け入れ、長期間に亘って理解と優しさを与え続けることが出来たなら、そのトラウマによる影響は範囲を狭め、弱まってゆきます。
トラウマを抱えた自分を理解してくれるパートナーが見つけられなかったり、その影響が日常に影響を及ぼすようであれば、心理カウンセラーの手を借りることも出来ます。
トラウマと戦うには、他人に頼ることを恐れないことがポイントです。
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ストレスが人間不信を招くこともある 克服法はコレ
ストレスも人間不信を招く原因で、しかも非常に陥りやすい要因の一つです。
ストレスとなる要素は様々ですが、そこで感じるイライラは心から平静を失わせ、食欲を増加させたり減少させたりといった肉体的な変調をも引き起こします。
ストレスがもたらす疲労感は心から余裕を奪い、周囲からの接触を鬱陶しいと感じるようになり、八つ当たりが始まります。善意の言葉や支援を自分への妨害と勘違いし、孤立を深めてゆくことになりがちです。
ストレスは先ず、その原因を取り除くことを考え、手を貸して貰えるならばお願いする勇気を持つことも必要です。
また、ストレスを感じたら適度に休息を取るように心がけましょう。
自分を追い込まないように適当に息抜きを挟み、ストレスによって効率を落とさないようにするのも、責任を持った仕事の進め方です。
集中が続いた日は、仕事が終わってからもその集中を引きずることのないように、しっかりとリフレッシュしましょう。
同じ趣味で繋がった仲間とオフるのも、ストレスの解消には効果があります。
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自信喪失から考え方の歪みで人間不信に 克服法はコレ
何もかもが上手く行ってる時には、全てが楽しく感じられるものですが、上手く行かない出来事が重なると、途端に自信を失い、臆病になるものです。
自信を取り戻せないままの状態が続くと、自分への要求がことごとく無理難題に思えて来て、上手く出来るような気さえしなくなってしまいます。
同じように躓いている人が身近に居て、この状況を共有することができれば、励まし合ったり協力したりしてマイナス思考に囚われることから回避出来ます。
成功までの道のりを細かいステップに分けて案内してくれる指導者が入れば、ささやかな成功の繰り返しという形で、自信を失わずに進むことが出来ます。
しかし、その難題に立ち向かうのが自分だけだった場合には、目標は遠いまま手が届きそうにもなく、孤独感がマイナス思考に拍車をかけ、成功に手の届かない自分を嫌悪するようになって行きます。
自信喪失の中での見えるものは、なにもかもが自分の成功を邪魔する要因のようにさえ思えて来ます。
自分を邪魔しないで欲しい、上手く出来ない自分を責めないで欲しいと願う気持ちが、人間を嫌い、信じない自分を作ってゆきます。
それは、失敗を「どうして」とか「いつになったら」と、強く叱責された経験から始まったのかも知れません。
間違いを素直に認められずに意地を張っている間に、見透かされているのではないか、陰でバカにされているのではないかと思い込むことから始まったものかも知れません。
もしかしたら、本当は嫌われても見下されてもいないのに、自分は誰からも愛されていないと決め付けているだけなのかも知れません。
しかし、人間を信じられなくなってしまってからは、励ましも、褒め言葉も、その言葉の裏に自分に対する侮蔑が含まれているのではないかと裏読みをせずには居られなくなってしまいます。
この悪循環からは、自分に自信を持てるようにならなければ抜け出すことが出来ません。
自分も周りから愛されている一人であることを、自覚することが、人間嫌いからの出口になります。
失敗を非難されたことや、隠し事が気になって落ち込んでしまったのは、もともとが純粋な人だったからなのでしょう。
純粋であるからこそ、他人の目を必要以上に気にし、自信を失い、自己嫌悪に陥ってしまったのでしょう。
失った自信には、ひとつひとつの出来事が存在していた筈ですが、取り戻す自信に出来事は必要ありません。
自分は失敗を繰り返しても嫌われない、他人から好かれる魅力を持っていると自覚することが、自信の回復につながるのです。
自分にも長所がある筈です。
純粋であること、素直であること、慎重になれること、恥を知っていること。
どれも上手く使えば素敵な魅力です。
難しくしてるのは、相手が自分のことをどう思っているのかを感じ取ることが出来ないこと。
ならば、自分を信じてくれている家族や親友に相談をしてみましょう。
自分が得意だと思っていることが、相手にとって嬉しいことなのか不愉快なことなのか。
そして、褒めてもらえたら素直に喜びましょう。励ましの言葉は喜んで受け取りましょう。
家族や友達に打ち明けるだけの自信もないならば、自分で自分を評価してみましょう。
評価の基準は自分の考えが正しいかどうか。
周囲から聞こえてきた声を、あぁに違いない、こぅに違いないと決め付けて終わるのでなく、実際にはどうなのかを事実確認してみることです。
そして、自分の想像が間違っていたなら、すぐに間違いを正して修正を受け入れることです。
不安はそのままにせず、その場で解決する努力を始めることを習慣化しましょう。
まずは自分で自分を愛することです。
自分を愛されるに値すると信じることから始めましょう。
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人間不信度診断を症状からチェック
誰もが裏切りや孤独を感じたことはあるものと思います。
知らず知らずのうちに、人間不信度が上がっているかも知れません。
チェック項目を用意しましたので、自分を振り返ってみましょう。
・他人の言葉を素直に信じることができない
・常に相手の言葉を裏読みしてしまう
・心の底から信用して会話できる人がいない
・自分から積極的に話すことができない
・金銭トラブルがある
・話すだけで疲弊してしまう相手がいる
・恋人からの裏切りを経験したことがある
・いじめられた経験がある
・自分の体験に嫌みを言われたように感じる
・緊張のせいで汗をかいたり吃ったり早口になってしまう
・相手の目を見て話すことができない
・焦燥感に駆られて相手が話し終わる前に返事をしてしまう
・会話が途切れて無言になるのが怖い
・自分の失敗を周囲から小馬鹿にされた
幾つ以上あればということではなく、当てはまる項目が多ければそのぶんだけ人間不審度が高いと判断されます。
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人間不信が克服できない時は病気の可能性も疑って
一方、自身に満ち溢れたかのような振る舞いをする、妄想性パーソナリティ障害も、根底にあるのは人間不信です。
妄想性パーソナリティ障害とは、猜疑(さいぎ)性パーソナリティ障害とも呼ばれ、なんの理由もなしに自分に危害を加えようとする人や、利用や陥れようとする人の存在に怯えて不信感に取り憑かれてしまう障害です。
妄想性パーソナリティ障害は“独裁者の病”と言われているほどで、強大な権力を手に入れた絶対権力者の多くが陥る病気です。
独裁者は、自分がその地位についた時にそうしてきたように、成り代わろうとする者によって策略で失脚させられることが想像できてしまいます。
その想像は感受性を過敏にし、部下ですら信用せずに常に監視下におくようになります。
もともとの性格にその兆候のなかった人であっても、その人の地位やそこに登り詰める過程が、人間不信を招き、独裁者の病である妄想性パーソナル障害を引き起こします。
また、妄想性パーソナリティ障害では幼少期に自尊心や自己愛を抑圧されるような環境が与えられていたことが多く、その反動で表面的な自尊心が強くなり、周囲を落とし込むことで自分が特別な存在であろうとします。
自分の地位を守ることに執着するのも、この肥大した自己愛と虚栄心によるものです。
この怯えた独裁者には、自尊心を貶める批判や屈辱、否定、威嚇といったものに過剰に反応し、不当な扱いを受けると激怒し逆襲するといった特徴も見られます。
妄想性パーソナリティ障害を発症すると、高圧的で猜疑的な態度で周囲と接するようになってしまいます。
そのために周囲との関係が上手くいかなくなり、猜疑心や他者への不信感が増長することにより、不安障害やうつ病を合併することもあります。
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人間不信が病気と診断された場合は焦らず治療しよう
長期に亘る人間不信によって形成されたマイナス思考は負のスパイラルを形成し、その出口は存在しません。
そこから抜け出すにはその人の感受性そのものを、環境とともに変える必要があり、絶対的な協力者が必要です。
ただ、人間不信に陥っている人の心は非常に不安定で、それを引き起こした原因によって、触れてはならない傷が存在したり、定期的に恐怖感を取り除く施術を必要としたりします。
その人間不信が病気と診断された場合には、専門家の手を借りて、じっくり焦らず治療に取り掛かるようにしましょう。
人間不信への基本的なアプローチは精神療法です。
カウンセリングで原因を分析することによって、対処の方針を決めます。
カウンセリングを受ける際には、出来る限り協力者も同席し、環境作りから始めて行きます。
人間不信が原因でうつ病を発症していたりすると、その症状を取り去るために薬物療法が併用されることがあります。
抗うつ薬選択的セロトニン再取り込み阻害薬のSSRIが代表的です。
症状が嵩じて統合失調症の症状を呈するようになった時には、抗精神病薬が処方されることもあります。
人間不信には、年令による傾向も見られます。
厚生労働省の調べによると、「家族との人間関係」については、男性には年代別の傾向は見られないものの、女性は40代、50代で高めの傾向があり、介護や子育て、相続といった問題が影響を与えているのではないかと思われます。
それに対して「家族以外の人間関係」では、男性より女性が高めの傾向が続き、年齢階級が上がるにつれて下がる傾向を示しています。
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