固定概念にとらわれると様々なことが窮屈に感じ、本来の自分の能力を発揮出来なくなることがあります。

一方、よく似た言葉として固定観念が存在しますが、この言葉は少し事情が違うようです。

 

今回は、固定概念と固定観念の違いにも触れながら、解説を進めます。

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固定概念とは?

 

固定概念によって形成された考え方は、他人と連想を共有出来ることから、話の流れをスムーズにするといった効果があります。

 

一方、連想が固定化されてしまうことから、事実とは一致しない思い込みを誘発したり、個々の特徴や時代による変化を受け入れることに否定的に働いてしまうこともあります。

 

固定概念から誘発される思い込み

他人との会話が滞りなく流れるのは、そこで使われるそれぞれの単語の説明を、固定概念が肩代わりしてくれるからです。

いちいち説明しなくて済むのは良いのですが、ひとりひとり経験が異なっている分だけ、連想される思い込みにも差が出てしまいます。

 

共有されなければ事故にも繋がる

周囲の人々と共有されていれば便利な固定概念です。

赤信号なら止まれ、車は左側を走る、こういったルール化されたものは共有されることで安全が担保されます。

 

ところが、明示化されたルールが存在しない固定概念が、時々事故を引き起こすことがあります。

 

エスカレーターでは、東京では左に寄って立つことで右側を空けるのが通例ですが、大阪では左右が逆です。

こういった地域特有の事情を、固定概念が邪魔をしてしまうケースも、珍しくありません。

 

状況への対応が排除される危険

相撲の世界には、女人禁制というルールが存在します。

このルールの起源には諸説あるようですが、そもそも取り組みを男女混成で行うことには無理があるので、真剣を見せることを興行の目的とする大相撲では、女性力士が居ないことは不自然ではありませんでした。

しかし、この女性の取り組みが存在しないことが、土俵の上は女人禁制という固定概念を作り出すことになりました。

 

取り組みには女性は出られませんが、人命救助には女人禁制を持ち込む理由が存在しません。

にもかかわらず、「土俵の上女人禁制」の固定概念が曲げられず、救助に向かった女性に対して、土俵から降りるようにとのアナウンスがされたのは、悲しいことです。

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固定概念の類語はコレ

 

固定概念の類語は沢山あります。

振り返ってみると、少しばかり迷惑な印象を持つ言葉が多いようです。

 

既成概念

既成概念とは、既に社会で共通の認識となっている概念のことを指します。

共通の認識となっていることで、わざわざ細かいことまで擦り合わせることを必要としないというメリットがありますが、新しい考え方に切り替えようとする動きへの妨げになることもあります。

 

固定概念が個人の思い込みいう性質を含むのに対し、既成概念は社会的につくられた概念です。

 

ステレオタイプ

多くの人が持つ共通した認識のことで、何々と言えばこうだよね、というように代表値を共有することです。

男性は大きくて女性は小さい、ネコはネズミを追いかける、蕎麦は長い、いずれも特徴として間違っていないように感じますが、どれにも存在する例外は表現の中に含みません。

 

ステレオタイプは、先入観による思い込みによって、偏見や差別を生むこともあります。

 

決めつけ

決めつけによって、周りの意見を受け入れずに、自分の思い込みに従って、一方的に判断をしてしまうことがあります。

既成概念やステレオタイプと違い、自分の中だけで完結してしまうために、周囲に誤解を与え、孤立してしまうことさえあります。

 

 

固定観念

固定観念の意味は、意識を支配することによって、行動が決定されてしまうような認識のことです。

あくまでも観念によって支配されるという諦めのニュアンスを含みます。

時代劇等で使われる「観念しろぃ!」の観念です。

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固定概念と固定観念の意味に違いとは

 

辞書によると、固定概念は固定観念の誤用から生まれた言葉です。

というものの、観念を概念に読み違えたことによって、言葉の持つニュアンスは変わって来ました。

 

固定観念は主観的なもの

観念という言葉は、個人の思い込みにより作り出されるものです。

 

その観念という言葉を含む固定観念という言葉は、こうであるに違いない、といった凝り固まった思い込みによる、個人の考え方を指す主観的な言葉です。

固定観念によって、本質を確かめずに、割り切ったり諦めたりという行動が引き起こされることもあります。

 

固定概念は社会の共通認識

固定概念は社会を構成する大多数が満足する共通認識です。

本質がどうであるかを個々が評価する必要もなく、一般的な考え方の上で振る舞いを決定するのに便利なものです。

 

固定観念と固定概念

自分の思い込みで縛るのが固定観念であるのに対し、社会の既存常識で縛るのが固定概念です。

固定観念の誤用から生まれた固定概念は、いつの間にか別の言葉になってしまいました。

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固定概念と既成概念の意味に違いとは

 

ここまで、固定観念と固定概念のち外について説明して来ました。

ところで、固定概念と似た言葉に、既成概念があります。

既成概念も、固定概念とは違う意味を持つ言葉なのでしょうか。

 

既成概念の意味

既成概念とは、社会で認知されることによって既に決まった考えという意味です。

 

大雑把に言えば、考え方が出来上がっているので、世の中のルールをよく知らなくても、既成概念に従って行動すれば、大きな間違いをしないで済むとも言えます。

逆に、既成概念となった考えによって、別の解釈が無視されたり否定されるという危険もあります。

 

固定概念と既成概念

言葉の意味を考えると、固定概念と既成概念は同じもののようです。

固定観念から生まれた固定概念は、響きの似ている既成概念の意味をオーバーラップさせて、広まったのかも知れませんね。

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固定概念の使い方例を紹介

 

成り立ちと意味がわかった固定概念です。

ここで、使われ方を見ながら理解を深めることにしましょう。

 

男と女

男女間の固定概念は、かなり薄まって来たとはいえ、まだまだ印象を方向付ける程のパワーを秘めています。

テレビのCMであっても、男女のイメージの違いを取り込んでいるものが多いように感じます。

 

その一つは「男は仕事、女は家庭」ではないでしょうか。

 

男なら仕事に家庭の事情を持ち込むな、家事と育児は女の役目、といったものは、まだまだ共通認識のようです。

最近は自由になったものの、かつては子供の色使いでも、男の子は青、女の子は赤、と相場が決まっていました。

 

学問と研究

一見、同じ仲間のように感じる学問と研究の2つの言葉ですが、実はこの2つ、相容れないものです。

学問とは、既に判明していることや、共通の取り決めを身につけることです。

 

一方の研究とは、学者が未知のものごとを明らかにする行為です。

学問は固定概念であり、研究は固定概念を壊しながら進められるものです。

 

仕事と私

「仕事と私のどっちが大切なの?」

この言葉は、恋愛をしている彼女から彼氏に向けて発せられる言葉です。

という解釈にも、既にこの台詞を使うのは女性だ、という固定概念が含まれています。

 

それを踏まえた上で、この台詞の持つ悲劇は、女性にとっては、彼氏の優先順位として「彼女という存在」が「仕事」に勝っているのは当然のこと、といった固定概念が有るのに対し、

仕事は全ての個人都合に優先させなければならない、という固定概念を持つ男性のすれ違いです。決して、彼女が上司に負けているわけではありません。

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固定概念にとらわれる人の4つの特徴

 

固定概念にとらわれる人には、幾つかの特徴があります。

思い当たる項目がある場合には、そこには思い込みや決め付けが入り込んでいる場合があります。

そのせいで、相手に不快感を与えてしまっていることもあれば、仕事をつまらなくしてしまっていることもあります。

 

自信満々でうざい

固定概念にとらわれた人は、相手が躊躇することについても自信満々で言い切ってしまうことが出来ます。

その自信満々は、うざく、うっとうしく感じてしまうものです。

こちらで何か話そうとしているのに被せるように結論を断じられてしまうと、うざいを通り越してうんざりしてしまいます。

 

提案を受け入れない頑固者

固定概念によって既に確定しているものと思い込んでいる人には、何の提案も通りません。

その頑固者の頭には柔軟性がなく、少しの例外も認めない堅物です。

決まりきったこととの思い込みによって、その固定概念に固執し、変化させようとする動きそのものを嫌います。

 

状況を見ようともしない

既に答えが出てしまっているとの思い込みから、そこで起きている状況に対しても確認の必要性を感じません。

誰もが思う固定概念に従って動いている筈が、確認を怠ることによって判断が客観性を失っていることにも気付きません。

現実に即していない判断は、周囲の目には主観的としか映りません。

 

 

短期的な捉え方をしてしまう

固定概念は、作業指示の内容を虚ろにしてしまうことがあります。

どんな作業にも目的がありますが、その作業の手順を固定概念で補足することによって、細かい指示まで出す必要がなくなります。

 

作業の指示を出す側にとっても楽になりますし、指示を受ける側にとってもとっとと作業に取り掛かれるので、特に単調な作業の現場では歓迎されがちです。

 

ただし、具体的な目的を伝える必要が無くなった分だけ、その作業の捉え方は短期的なものになり、作業全体に対する意欲は薄れがちになります。

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固定概念を捨てる3つの方法

 

固定概念にとらわれる事によって、様々な弊害を生むことがわかりました。

それでは、どうすれば固定概念にとらわれずないで済むのでしょう。

ここでは、安易に固定概念を受け入れないための方法について、考えてみます。

 

これで良いのか?

よく考えると、それ以外の選択肢が存在する場合であっても、固定概念にとらわれてしまうと、その存在に気付けないことがあります。

自分が何かの選択をしていると感じたとき、一度立ち止まって考えることで固定概念の支配から逃れることができます。

 

本当にそれで良いのかを疑問視してみるだけでも、不思議と他の選択肢が見えてくることがあります。

課題に対して角度を変えて考察してみると、思いもしなかった解決策が見つかることもあります。

 

背景に興味を持つ

固定概念に従って行動をするとき、その理由まで考えることはありません。

そうに決まっているから、考える必要が無いのです。

 

でも、押し付けられた概念であっても、その背景がわかったなら、その結果による影響も想像できて、少し楽しくなりそうです。

読書等で色々な知識を身に着けていれば、固定概念に出会ったときにも興味を持って取り組むことが出来そうです。

 

人によって捉え方が変わる

固定概念は、みんなで共有されている概念ですが、実は解釈の仕方は人それぞれであることが少なくありません。

その概念について話し合う必要がないからこそ、捉え方の違いが表面化しないという側面も持っています。

 

その違いを生むのが、それぞれの人の価値観の違いであり、人によってアレンジが加えられています。

友達との会話でも、固定概念には捉え方の差があることを理解した上で進めるようにしましょう。

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固定概念を覆すことで自分の可能性が広がる

 

固定概念は、細かい説明を必要としない便利なものである一方、決め付けの態度によって交友関係を崩したり、捉え方の差によってすれ違いを生む危険性も持っていることがわかりました。

 

逆に、固定概念をアテにせず、背景や目的を考えることで、的確な選択が出来るようにもなりますし、隠れた選択肢を見つけることが出来ることにも気付きました。

 

 

決め付けなければ想像は広がる

時として、固定概念はメンタルブロックとして働きます。

一般的な前例の積み上げで出来上がった固定概念が示す判定結果には、頑張ることで状況が変わることも、よく似た他の選択肢も現れてきません。

 

しかし、固定概念を元にした決め付けを取り除けば、柔軟な組み合わせの中に可能性が幾つも見えて来るのです。

 

未知への挑戦

過去の人達に検証されたことで作り出された固定概念に従って生きることは、簡単で安全です。

 

しかし、新しいことを成し遂げようとした時、そこには固定概念で組み立てきれないパーツが入り込んできます。

自分の希望を叶える為のチャレンジは、乗り越えられる度に自信となり、新しい目標を生み出す力になります。

 

自分を諦めない

たかが固定概念がそう言っているからといって、自分を諦める必要はありません。

そこに夢があるなら、そこにたどり着く方法を、可能性の組み合わせで探せば良いのです。

その道を進む時、そこを進んでいる自分が「なりたい自分」であることに気付くこともあるかも知れません。

 

固定概念の外に広がる新鮮な刺激

固定概念で凝り固まった、退屈で窮屈な世界を抜け出し、自分の頭で考え、確信に満ちた努力を積み上げる生き方を選んでみませんか。

固定概念に保証してもらえない、チャレンジに満ち溢れた世界への旅は、スリリングで刺激に満ちたものになるでしょう

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