恋愛の自由化とともに、結婚生活や夫婦の在り方も多様化しているのが現代社会です。
中には別居婚という形態を選択した夫婦もいるかもしれません。
価値観は人それぞれですが、実は別居婚を選んだカップルは離婚率が高いと言われています。
メリットも存在する別居婚ですが、法的な問題や子どもへの影響などきちんとデメリットについても理解しておかなければ離婚に至る可能性があります。
別居婚のメリットとデメリットを知って、自分のライフスタイルにあった結婚生活を模索しましょう。
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目次
別居婚とは
離婚のことを「卒婚」と呼んだりする時代になりました。
そんな中、増え始めている別居婚について、いくつかの視点からポイントをまとめています。
仕事や生活リズムの違いでやむを得ず離れて暮らす
別居婚は離婚とは違います。
さまざまな事情も考えられますが、ひとまず離れて生活を送っている夫婦の形です。
浮気や不倫で別居する人もいますが、仕事の関係で同じ生活リズムを刻むのが難しい場合は、結婚していても別居して暮らしたりします。
価値観の違いから別居している状態でも、婚姻関係が終わっているわけではありません。
正式な離婚届けを提出しない限り、どれだけ別居していても離婚していることにはならないのです。
そのあたりは、手続きを踏みたがる日本の文化と言えるでしょう。
どういう理由で別居になるかは人ぞれぞれですが、夫婦でありながら生活の拠点が違うことを別居婚と呼びます。
別居婚ならではの3のメリット
それでは別居婚だからこそのメリットをご紹介しましょう。
仕事や趣味に没頭することができる
家族がいれば、自分だけのペースで過ごすことはできません。
子供の学校行事に振り回されたり、相手の実家へ挨拶に行かされたり、時間を気にしなければならないこともあるでしょう。
家族の行動に合わせる必要が生じることも多く、好きなように自分の意思を反映させることが難しいわけです。
例えそれがお互いの協力関係で成り立っていたとしても、独身の頃のように気ままに暮らしていくことは無理です。
そこにはどうしても、既婚者であるという責任がついて回ります。
でも、別居婚なら話は別です。誰かに遠慮する必要もありません。
好きなだけ仕事をして、自分の好きなものを食べ、休日は趣味に没頭しても責められることはないでしょう。
注意する家族が生活の中に存在しないため、自由時間を心ゆくまで楽しむことができます。
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新しい夫婦の形として恋人感覚を味わえる
一緒に暮らしていると相手の欠点も目に入ります。
どれだけ目をつぶったとしても、合わない価値観は合わないまま。
お互いに歩み寄ったところで、元々が違うのだからそう簡単な問題ではありません。
でも、別居婚ならお互いの役割から離れて、恋人感覚に戻ることも可能です。
恋人同士の恋愛には、お互いの人生に対する大きな責任はありません。
また、協力する義務もなければ、強制力も発生しないでしょう。
夫婦として形を崩さず恋愛感覚を持つなら、別居婚は適していると言えます。
離れてみて初めて気づくこともあるため、新鮮な気持ちで向き合うこともできます。
お互いに大人として自立できる
同居している状態を「自立していない」というわけではなく、別居することですべてを自分で管理するようになります。
これまで相手に任せていた部分や、自分ではやっていなかったことを実行することで、大人としてもっと成長することができるのです。
例えば家事。庭の手入れ。洗車。
家庭によって役割分担は違いますが、自分でやるようになるため行動力や計画性が磨かれたりします。
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別居婚にもデメリットはある
別居婚にありがちなデメリットも解説しておきます。
孤独感や寂しい気持ちを抱えることもある
帰宅してもそこには誰もいません。
もちろん一緒に暮らしていても顔を合わせなかったりしますが、同居と別居では心の持ちようが違います。
声をかける相手がいない。
楽しみを共有する時間もない。
これまで当たり前のようにできていたコミュニケーションは、別居しているとできなくなるわけです。
一人で行動することが好きなら、心に隙間ができるようなことはありませんが、寂しがり屋の人は反応のない一人暮らしに切なさが湧いてくるかもしれません。
それは簡単に埋められるものではなく、言い表せない寂しさを味わうことになったりもします。
手助けや経済的な共同作業が難しくなる
別居してしまうと、相手の体調が悪くてもすぐに対応できません。
病院へ付き添ったり、看病することもできなくなります。
住んでいる場所が近いなら通うこともできますが、別居している時点でそういった対応を望むことはできないでしょう。
また、経済的な面での協力はなくなります。
例えば買い物に行くけど持ち合わせがない。
一緒に住んでいれば借りることができたりもしますが、別居となるとそういうわけにはいきません。
もっと言ってしまえば、家計の財布は別々になるので自分で管理することになります。
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住民票の手続きの方法によって別居婚は実は違法
知っているようで知らない別居婚。
法的な問題もここで取り上げておきます。
同居義務違反に該当するかどうか
法律では、夫婦は同居することが原則です。
同じ姓になることで、本籍地や住民票も1つになります。
ただ、DVや夫婦関係が破綻している場合、お互いの了承があるときや転勤などは、別居していても違反にはなりません。
つまり単身赴任だと別居婚状態ですが、これは違反に当てはまらないわけです。
これが違反に当てはまるとしたら、長期で海外赴任している会社員はすべて違反者になってしまいます。
さすがにそこを掘り返したりはできませんが、同居していないことは離婚調停や裁判のときに有利に働くこともあるのです。
離婚への後押しとなるかどうかは、同居しているか別居しているかの影響を受けます。
住民票で居住地に住民税が発生する
住民税は、居住地において納めなければならない税金です。
妻の収入によっては免除される場合もありますが、一定の収入額を越えると夫婦ともども支払うことになっています。
でも、別居婚の場合は同じ住所に住んでいないので、本来であれば住民票を移さなければなりません。
その上でお互いが別々に住民票を支払うことになったり、免除になったりするわけです。
また、住民票を移さなければ、自分宛の郵便物を受け取ることができません。
いろいろ面倒な手続き上の問題がでてくるわけです。
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国民健康保険の手続きをする必要もある
離婚を前提で別居婚している場合は、住民票の移動手続きと共に国民健康保険なども手続きをする必要があります。
引っ越し後14日以内に住民票の手続きが求められているため、国民健康保険も同じように手続きしたほうが良いでしょう。
ただ、住民票を移動した時点で健康保険の受給資格は喪失し、新しく夫と妻それぞれに健康保険の支払い義務が生まれることになります。
さらに離婚して姓が別々になれば、そこでもう1度保険証の差し替えをしなければなりません。
そのため1度で手続きをしたほうが手間も少なくて済むわけですが、それは別居する理由によっても変わってきます。
別居婚は生活費が倍ではなく二乗になる理由
別居婚で起こる生活費の問題を説明しておきましょう。
家賃や光熱費・食費の問題
別居婚は家計が2つある状態です。
そのためそれぞれに家賃・光熱費・食費などがかかり、単身赴任の世帯と似たような状況になります。
それはそれで自由に調整することのできる部分かもしれませんが、これまで自分がやってこなかったのだとしたら、慣れるまではかなり苦労することになります。
もちろん余るほどお金があれば関係ありませんが、そうでなければ日々の食事を外食で済ませるようになり、気づいたら驚くほど「生活費にお金が飛んでいた」ということも否定できません。
お目付け役がいないことで趣味に浪費する
生活費の範囲内で趣味を楽しめば問題ありませんが、お目付け役がいないので浪費する可能性も高いです。
例えばゴルフ道具・アクセサリー・ゲームなど、趣味を追求することができるため、部屋中に集めたものをコレクションして置いておくこともできます。これまでのように文句を言われることもありません。
そのため止められなくなって費やすことになるのです。
家族と同居していれば、ある程度のところで「もう止めなさい」という言葉をかけられることもありますが、別居婚ではそれがないので自分で管理するしかありません。
その結果、趣味の世界にハマってお金を注ぎ込むようになったりするのでしょう。
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別居婚の最大の心配は子供への影響
両親の不仲によって、子供にどんな影響があるかを解説します。
トラウマや孤独など心に傷を負う
なんでお父さんとお母さんは一緒に住まないの?子供にとっては素朴な疑問でしょう。
その事情や理由を理解できるようになるのは、どれだけ発達していたとしても小学生以下では無理です。
なんとなくわかっていても聞けない雰囲気。
聞いたら悲しませることになる。
子供は親の微妙な空気を察して、遠慮するようになる場合もあります。
そんな子供の中には、「僕がいるからダメなんだ」と考えてしまう子もいて、言葉にしなくても傷ついている可能性があります。
そしてそれは大人になってもトラウマとして残り、その後の人生に影響を及ぼすこともあるでしょう。
もちろん全員ではありません。
でも、多かれ少なかれ、両親の不仲が子供の成長と発達に関係があることは間違いないのです。
いじめに発展するケースもある
「お父さんはいないの?」「なんでお母さんと別々に暮らしているの?」大人の世界で通用する都合は、子供の世界では通用しません。
どんな理由があるにしても、自分と違う生活を送っている子に対して、偏見を持ったりする子もいるのです。
それがどんなに相手を傷つけることになるのか。
まだ、子供では想像に及ばない領域と言えるのかもしれません。
低学年であればあるほどその傾向は大きく、事情がわかるようになると、今度は意図的ないじめのネタになったりします。
面白がって話を広げたり、冷やかして遊んだりするので、されている子供からしたら気持ちも沈みます。
でも、親に心配をかけないために、我慢するようになったりするかもしれません。
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別居婚は離婚率が高い2つの理由
別居婚が続けばすれ違いは深まっていきます。
決定的に離婚へ拍車をかけるのは何か。
その理由をお話しています。
この先の生活が不透明になることからの気持ちの負担
別居婚も最初のうちは、お互いが自由になったことで満足感を得られるかもしれません。
でも、それは短期的なもの。
長い人生を考えれば、先に続く見えない生活の不安は日増しに濃くなっていきます。
いつまで中途半端な別居を続けるのか。
もう別れたほうがお互いのためになるのでは……。
長ければ長いほどそんな心理状態に陥ったり、新しい生活が始まってしまえば、まだ籍が入ったままの夫婦関係はが負担になってきます。
結婚している状態だから支給されない補助、人生を再スタートさせるための人間関係、そのすべてを邪魔されているように感じてしまう人も少なくありません。
そのため別居婚は離婚へ発展する確率が高く、相手もそれを同じように感じている場合が多いです。
不倫をしている罪悪感に追い込まれる
別居婚を選んだ理由が不倫である場合、できるだけ早く離婚したいと願うでしょう。
ただ、すぐには了承してもらえない。
不倫を知られたくない。
法的な損害賠償などの問題に発展する前に、別居婚から離婚へ加速するケースもあります。
自分の置かれている立場や、犯してしまった不貞行為に対する罪悪感を消したくて、自由に恋愛できる離婚を求めたりするのです。
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別居婚を上手に続ける2つのポイント
別居婚続けるためのルールを紹介します。
期間限定にして生活に取り入れる
別居婚を試してみたいと思ったら、まずは相手との間で期間を設けて試してみてください。
いつまで別居するのか。
ハッキリした現実が事前にわかっていれば、いつになったら気持ちの整理をつけるか明確なゴールがわかります。
そのため漠然とした不安も薄くなり、次にどうするべきか自然と答えを選べる可能性が高いでしょう。
どうなるのかわからない。
この状況が続いてしまうことが最も心を不安定にさせるため、期間を区切って別居してみることで、まったく別の発想にたどり着くかもしれません。
他に選択項目が増えたりすることもあるため、1つの手段として考えてみることも悪くないでしょう。
親権をとるためには別居婚を選んだほうが良い
離婚したい。でも、もしかしたら親権を相手にとられる可能性が高い。
そういう場合は、別居婚にして子供と一緒に暮らしましょう。
親権をとるには条件があって、そのうちの1つに、現在一緒に生活をしていて面倒を見ていることが挙げられます。
調停員は子供の環境を変えることよりも、慣れている生活を変えないことで判断する場合もあるため、親権を争う姿勢があるのなら、選択肢に入れておいても良いかもしれません。
ただ、必ずしも考慮されるとは限らないので、そのあたりは弁護士に相談してください。
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