ピーターパンといえば、永遠の少年の心を失わない存在です。
子供心を失わないというのは一見すると素敵なことのようですが、大人になっても子どもと同じ振る舞いをしてしまう人は社会人として問題を起こす可能性が高くなります。
大人になっても成熟できずにいつまでも子どものようにふるまったり言動をとることを「ピーターパン症候群」と呼びますが、治療することはできるのか気になりますよね。
もしかしたらあなたも自分では気がついていないだけで大人になりきれていないのかもしれません。
ピーターパン症候群の診断方法から特徴や治療法まで解説しますので、自分自身の改善や大人になりきれていない人との付き合い方の参考にして下さい。
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目次
ピーターパン症候群はパーソナリティ障害の一種
ピーターパン症候群とはは具体的にはどの様な症状を指すのでしょうか。
元々はアメリカの心理学者であるダン・カイリーという博士が大人の年齢に達しているにも関わらず精神的に大人にならない、なれない男性を指す心理的な病気、パーソナリティ障害を表す症状名として提唱されたのが始まりと言われています。
ピーターパンが「大人たちが自分を将来何にさせるかを話し合っているのを聞いて大人になるのを止めた」という所からピーターパンの物語から名づけられています。
この症候群の特徴は体は成熟している大人なのに子供の様な言動や行動を取る男性等を主に指します。
表面的にプライドが高く立派な大人の様に一見見えますが、内側は非常に傷つきやすく臆病者である傾向にあります。
また子供っぽいという特徴の他に精神的、社会的、性的な部分で感情のコントロールや行動のコントロースが欠如している為に問題を引き起こし易い面もあります。
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ピーターパン症候群のもうひとつの側面は脳障害
このピ-ターパン症候群は時によって脳の問題を疑う必要があります。
具体的に言いますと自閉症、注意欠如多動性障害や学習障害と呼ばれるものです。
この見極めは難しい部分(たまたま人よりも能力の凹凸があるだけという可能性も)がありますので疑いがある場合には専門の病院に行き適切な治療や訓練を受ける必要があります。
ピーターパン症候群の原因は様々
ではこうしたピーターパン症候群は何故発生してしまうのでしょうか。
原因について詳しく解説して行きましょう。
育った家庭環境
最大の要因は両親を始めとする育った家庭環境にあると言われています。
中でも両親の関係性、仲が良かったか、また愛情にうまく育まれていたかどうか、愛情に飢えていなかったどうかがポイントになります。
特に両親の不仲は常に家庭内に張り詰めた緊張をもたし、感情がうまく表現出来ないまま大人になりうまく感情処理が出来なくなります。
親の人間性
両親の人間性がうまくバランスの取れた両親だったかどうかというのが大切です。
例えば父親が厳格で細かすぎて母親がそれを緩衝せずにストレートに子供が受けてしまいますと子供の心は歪んだ物になって行きます。
特に男の子は逃げ場が無くなって引きこもり等の症状を招く事になります。
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いじめなどのトラウマ
男の子の成長には同姓、父親や兄または兄貴分の存在や導きが非常に大切です。
この導く存在が欠如あるいは機能していないと性格が非常に乱暴で不安定なものになります。
さらに体格的に劣っているといじめの対象となり、これがやがてトラウマとして残り続けててしまうという危険性があります。
過保護、過干渉
ピーターパン症候群の人は親の過保護や過干渉によって引き起こされるとも言われています。
過度の愛情を注がれて欲しい物は何でも買って貰え親が言いなりになる、あるいは親が子供の意志を無視して親の支配の元に全ての事を強制的に押し付ける、束縛すると子供は自分の意志で考えるという意識が無くなり、全て親任せ、他人任せになって行きます。
そのまま大人に成長してしまう事で自分の意志で決断し、行動するという事が出来なくなります。
劣等感が強い
家族とのバランスがあるい上に自分の容姿や能力や体力にも自信を持てていないとコンプレックスが益々増えて行き、最後には大きな塊となりなかなかそれを取り払う事が困難になって行きます。
それが悪化すればする程内面に収まり切れずに外面に滲み出てきてしまいます。
孤独感が強い
この様な背景を持っている人は人との交流が苦手になり、避ける様になります。
避ける事で人間関係の範囲を狭め孤独感を深める事となります。
誰かがそれに気が付いて手を差し伸べて欲しいと言う気持ちがあります。
しかしながら他人にはそれは分かりません。
自分の中の固定観念やこだわりが強い
ピーターパン症候群の人は家庭環境の影響が大きすぎて一般の子供の持つ社会経験が無い為に固定観念だけが定着し、強いこだわりを持ったまま成長してしまっているのでなかなかそれを取り払う事が出来ません。
また先述した通り、狭い人間関係の中で生きていますので行動や思考もワンパターン化してしまう傾向があります。
その時に取る行動や態度も一般の人と違う為、奇怪に映りさらに人を遠ざけてしまう事もあります。
その様な背景を持っている人は人との交流が苦手になり、避ける様になります。
虐待
先述した過保護や過干渉と同様、幼少期に親や自分より年上の人から虐待を受けるとそのトラウマがずっと付いて回り、スムーズな柔軟な人間関係を築く事が出来なくなります。
大人は恐い対象という固定観念が益々孤独化させて行きます。
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ピーターパン症候群は後ろ向きな気持ちに占拠されている
今迄ピーターパン症候群の原因やそれを起こさせる背景について説明して来ました。
では次に具体的にどの様な症状が現れるのか詳しく見て行きましょう。
ピーターパン症候群の始まりは先述した様に子供の頃にまで遡ります。
両親の不仲や過保護により子供時代に歪んだ家庭環境に育つと何もやらなくても良い、誰かがやってくれるんだという無責任感、また人間関係に対して常に不安、人間関係がうまく構築できない事からの孤独感に苛まれます。
また容姿や体力が劣っていると子供時代に受けたいじめや虐待のトラウマからコンプレックスの塊の中で成長してしまいます。
そうした後ろ向きな気持ちに占拠されてしまう事で内面だけでなく外面にも滲み出て来てしまい、最終的には印象を悪くするという悪循環な状態に陥ります。
また鋭さを感じる言動も見られます。
一見自信に満ち溢れている様に見えますがコンプレックスの裏返しとされています。
特に仲の良い両親の家庭で育っている人に対して強いコンプレックスを持っている事が多い傾向にあります。
自分の持っていない物を持っている人に対して羨望の感情が湧くからでしょう。
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ピーターパン症候群の特徴は感情表現が苦手
またピーターパン症候群の人は感情表現が苦手でうまく自分の思っている事や感情を表に素直に出す事が出来ません。
要は感情をうまくコントロールする事が出来ないのです。
自分の思い通りにならないとうまく自分の感情を抑えたり我慢したりとコントロールする事が出来なくなります。
激高したりヒステリックになり、すぐにすねたり不機嫌になり必要以上に大げさに振舞います。
またピーターパン症候群の人がそれぞれ違った背景や性格を持っているという事を理解出来ません。
自分の育った家庭環境が自分の知っている社会であり、独りよがりの言動や行動を取りがちです。
その為、一般の人から見ると奇異に見え、益々孤立化して行きます。
無責任な行動も特徴的なピーターパン症候群の表れ
両親に過保護に育てられて来ている人は自分が特別な人間だと子供の時から埋め込まれているのでどんな場合でも悪いのは自分では無く他人であると他人に責任転嫁し、自分で責任を取ろうという意識が働きません。
プライドが高い為、例え自分が悪くても謝罪をするという事が出来ません。
ピーターパン症候群の人は自分自ら行動を起こす事が出来ません。
他人によってうまく回っていればいいやと思う性格だからです。
集中力も無く、すぐに諦めてしまうのも特徴の一つです。
小さな失敗ですぐに他人に責任転嫁し、諦めてしまいます。常に失敗を恐れ挫折すらしないように逃げ越しで用心深くなります。
この様な事をすればする程人から信用される所か頼りにされるなんて事は無くなります。
ですのでこのパターンの人は一つの仕事を長く続けるという事が出来ません。また若い場合には追い詰められるまでやるべき事に手をつけようとしません。
わからないから、どうでもいいやというのが口癖で怠惰な状態を続けます。
しかし厄介なのが何をしたいという具体的な目標があるわけでも無く、ただ周りに認められたいという欲求だけがあります。
目先の事でイライラし、他人に責任転嫁する、これでは組織の中でうまくやって行く事は難しいでしょう。
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性的なコンプレックスが強い特徴もある
ピーターパン症候群の人に多くみられるのが恋愛が非常に下手という人が多く見られます。
特に父親の影が薄く母親の影響力が強いと母親に取り込まれて性の役割の感覚が一般の人と違った感覚で受け取ってしまいます。
俗にいうマザコンと言われる人達です。
また男の子の手本となる兄貴分の存在が幼い頃から無いと益々恋愛の参考となる対象者や話を聞くあるいは経験をする事が出来ずに大人になってしまいます。
この様な状況で成長して来た人の中に20代になっても童貞という人も少なくありません。
本人はこれを非常に恥ずかしい事だと思い、嘘を付いて隠そうとします。
何とか初体験を済ませても自分の性能力を誇示しようと手当たり次第女性と関係を持ったり、特定の女性が出来たとしても嫉妬心から極端に束縛したりと普通の恋愛関係が構築出来ません。
女性の自己主張や独立心に嫌悪感を持ち、男性との平等を主張する女性とはどう接して良いか判らないからです。
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ピーターパン症候群の治療には自分の性格を見直そう
ピーターパン症候群の症状は12歳頃から発症し始めると言われていますので発見が早ければ早いほど治療も可能になります。
その治療方法としてはまず両親の不仲を改善する必要があります。
父親としてピーターパン症候群になっている子供が自分の気持ちに何を感じているのか理解しているのか、何かを感じているにも関わらず感じているふりをしていないかを良く振り返ってみる必要があります。
また母親は自分が過保護になっていないか、過干渉になっていないか、父親の男尊女卑思考に対して我慢していないか等を見返す必要があります。
しかしこの治療方法は発症している対象が子供である事です。
では大人になったピーターパン症候群の男性の場合の治療法はどの様な治療法があるのでしょうか。
それは地道にカウンセリングを受けて行く方法です。
自覚症状や他人から指摘されている人の場合にはカウンセリングを受けずに自分で治療して行く方法もあります。
それは自分を客観的に見つめ、反省する気持ちを持つ、人の言う事に対してしっかり耳を傾ける、自分に足りない部分や弱い部分を認めてそれを隠そうとせずに周囲にさらけ出す事という習慣を付ける事です。
また自分と他人には差が無い事を理解する事も大切です。
この様な環境で深く染み込んでしまったピーターパン症候群という症状は長い月日を経て身に付いてしまっているものです。
それを簡単には治せるものではありませんが以上のポイントを意識する事で周囲の人との協調性を持つ事が出来、やがてこの症候群から抜け出す事に繋がって行くのです。
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パートナーのピーターパン症候群の改善は自立が鍵
またピーターパン症候群からの改善はまずは何といっても家族関係を修復する事が最善です。
何故ならばこのピーターパン症候群は家庭の付和が原因になっている事が多いからです。
また夫がピーターパン症候群の方は自分自身で責任を取れる様な仕事、例えば個人事業主、自営業や芸術分野が適していると言えます。
ピーターパン症候群の人が社会的影響の大きな仕事の責任者や指導者の立場に立つ事には賛成出来ません。
失敗した時に責任を取ろうとせず他人に責任転嫁をするからです。
他人を巻き込まない為にも是非こうした職業に変わる様に妻の立場から指導される事をお勧めします。
こうしたピーターパン症候群の人は全てを許すウェンディでは無く、一緒に居ても甘やかす事のしないティンカー・ベルの様な存在が必要だと言えます。
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ピーターパン症候群を自己診断してみよう
もしかしたら自分の彼や夫がピーターパン症候群かもしれないと感じたら簡単に診断出来るピーターパン症候群を提唱したアメリカのダン・カイリー博士が考え出した「ピーターパン症候群の診断のテスト」という物があります。
決して行わない物には0点、頻繁ではなくても行った事がある物には1点、逆にそれを行わない事を探すのが難しいと思う物には2点で加点してみて下さい。
ここでは診断テストの一部をご紹介しましょう。
①記念日や誕生日といった大切な日を忘れる
②「ごめんなさい」の一言がどうしても言えない
③友達の為なら面倒な事でも進んでやるけれど彼女や妻の頼み事にはほとんど無視をする
④自分が出かけたい時以外は外出しようとは言わないし何かしようと自分から提案する事がない
⑤父親に会いたいと思いながらいざ面と向かうと深みの無い会話しか出来ない
⑥自分と違う意見には耳を貸そうとしない
⑦自分の能力が認めて貰えない、適した仕事では無い等と文句を言うだけで何もしない
⑧アルコールが入ると人が変わり、から元気にはしゃいだかと思えば突然理由も無く怒り出す
⑨訳の分からない事で不安になったり、自分を無くしたりするがそうした話題に触れようとしない
診断結果は如何でしたでしょうか。
カイリー博士はこの質問の合計点数を出して点数が高いほどピーターパン症候群である可能性が高いと言っています。
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女性にもピーターパン症候群があるのか
ピーターパン症候群は主に大人になりきれない男性が発症する症状だと説明して来ました。
女性にはないのかという素朴な疑問を持たれた方もいらっしゃるかと思います。
実は女性版のピーターパン症候群というのが存在するのです。
30代後半から40代の独身女性で少女時代の夢や気持ちを未だに持ち続けている様な人達を称して「プリンセス・パン症候群」と呼びます。
これはピーターパン症候群の現代女性版と言って良いでしょう。
男性と張り合ってキャリアを築いて来てさらなる自分磨きにも力を注ぐステレオタイプの女性では無く、仕事も好き、恋愛も好き、遊びも好き、気が付いたら30代後半になっていたという様な女性。
ファッションやメイクや流行に敏感、いつか結婚したいけれど今が楽しいからこの生活は止められない!と思っている様な女性を指します。
またシンデレラコンプレックスとも言われ、男性に高い理想や望みを求め続ける女性の潜在意識の中にある依存的願望を指します。
童話のシンデレラの様にいつか王子様が自分を見つけて人生を変えてくれるのを待ち続けている、そんな女性です。
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他にもおとぎ話になぞらえた症候群は多い
ピーターパン症候群の他にも先述したシンデレラ症候群の様におとぎ話になぞらえた症候群が幾つか存在します。
幾つかご紹介しましょう。
不思議の国のアリス症候群
自分の体が大きくなったり小さくなったりする奇妙な感覚や体や頭がふわふわして浮遊する様な感じがしたり時間が過ぎるのが異常に早く感じたり遅く感じたりする症状の事を指します。
ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」で薬を飲んだアリスが大きくなったり小さくなったりする話を元に1955年にイギリスの精神科医であるジョン・トッドにより名づけられました。
ラプンツェル症候群
自分の髪の毛だけでなく他人の髪の毛を食べてしまいたい衝動に駆られたり、髪の毛を引き抜かずにはいられない症状を指します。
これはグリム童話の一つに登場する美しくて驚くほど長い髪の毛を持つプリンセスの名前から名づけられました。
ハックルベリー・フィン症候群
子供が不登校になったり大人になっても仕事が長続きしないあるいはしょっちゅう欠勤する様な人を指します。
「ハックルベリー・フィン」のいかだに乗って釣りに行ってしまったり自由奔放な主人公からちなんで心理学者のJ・Cセガンという学者が名づけました。
モーグリ症候群
親に虐待されたり捨てられたりした子供たちが人間社会から隔離されて人間の生活様式になじめずに野生児化した状態を指します。
ラドヤード・キップリングの小説「ジャングルブック」に出て来る捨て子で狼に育てられた野生児のモーグリから取って名づけられた症状です。
これまでピーターパン症候群について様々な観点から説明して来ました。
子供の頃からの背景が強く影響している事がお分かり頂けたかと思います。
もしかすると自分がと思った方はじっくり自分を客観的に見直し、一度カウンセリングを受けてみて下さい。
今からでも遅くありません。一つ一つ解決して行きましょう。
さあ勇気を出して一歩踏み出してみませんか。きっと明るい未来が待っていますよ。
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