バーナム効果という言葉をご存じですか。
どんな人にも当てはまる内容なのに、まるで「私のことを指しているんだ」と思い込む社会心理学の用語です。
使い方次第では「私だけに特別なアドバイスを受けられた」というように人の気持ちを動かす効果もあり、人間関係を円滑にしたり仕事を優位に進めることができます。
この記事では知っておきたいバーナム効果の内容と、簡単な使い方について解説します。
恋愛だけではなく仕事にも活用して、望む効果を手に入れましょう。
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目次
- 1 バーナム効果って何?
- 2 占いはバーナム効果の最も分かりやすい例
- 3 バーナム効果はマジックの世界ではコールド・リーディングと呼ばれている
- 4 自分の事を言い当てられるバーナム効果の条件
- 5 言い当てた人によってもバーナム効果は起きる
- 6 バーナム効果はその内容によっても発生しやすい
- 7 表現方法で変わるバーナム効果の現れ方
- 8 バーナム効果は人だけに生まれる心理だった
- 9 恋愛におけるバーナム効果の使い方をマスター
- 10 バーナム効果は営業に活かせる心理効果です
- 11 占い師は千里眼でなくバーナム効果で未来を照らしてくれる
- 12 バーナム効果の使い方の違いが良い宗教と悪い宗教の差
- 13 バーナム効果より具体的に言い当てる統計学
バーナム効果って何?
バーナム効果という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは社会心理学の言葉です。
誰にでも当てはまるような曖昧で一般的な性格の説明を、まさに自分のことだと思い込んでしまうことを言います。
アメリカの心理学者であるポール・ミル(P.E.Meehl)は1956年に、興行師フィニアス・テイラー・バーナムの「誰にでも当てはまる要点がある」という言葉にちなんでつけたものです。
占いはバーナム効果の最も分かりやすい例
例えば、あなたが占い師に手相を見て貰った時に、次のように言われたとします。
「あなたは勤勉な人で、人から信頼されることも多いでしょう。でも時に頑張ればうまくいくことでも、我慢しきれずにやめちゃうこともあるみたいね。」
「あなたは、とても忍耐強くチャンスを待つ人ね。他人から手助けしてもらって道を切り開いていったり、成功することもあるようね。」
上記2つの例を読むと、何となくあなた自身に当てはまるようなところもある気がしませんか?
性格占いにある言葉は、あなただけでなく、どんな人に対してでもある程度当てはまる事が多いと言えます。
そういう面で占いは、最もバーナム効果が分かりやすい場面であると言えましょう。
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血液型診断でも活用されているバーナム効果
あなたは血液占いは好きでしょうか?
バーナム効果は、血液占いの中にも見られています。
血液型占いでは、次のようにそれぞれの血液型の性格特徴が示されます。
A型の人は・・・真面目で、仕事などはキッチリとこなすタイプ。よく言えばしっかり者ですが、悪く言えば神経質な性格であると言えます。
B型の人は・・・天才肌で、コツコツやるよりは、ひらめきや直観で勝負するタイプ。みんなで何かをしていても、自分のペースを崩さないので、「ちょっと変わり者」と思われがちです。
O型の人は・・・細かいことを気にしない、おおらかな人です。物事の考え方が楽天的で、自信を持っている人とも言えます。
AB型の人は・・・神経質そうに見えて意外と気にしなかったりで、周囲の人から見ると「あの人、つかみどころがないよね」「気難しそう」と思われがちです。物事をよく計算して動いているようにも見えます。
どうでしょうか。ざっと見てどれも「あるある!」ということばかりだと思いますが、実は自分以外の人に当てはめて考えてみても、「当てはまるな~」ということはありませんか?
バーナム効果とは、このように自分だけに当てはまりそうに見えて、どんな人にでも当てはまるようなことを言います。
バーナム効果はマジックの世界ではコールド・リーディングと呼ばれている
マジックショーを見ていると、マジシャンからは見えないはずの情報をマジシャンが知っていて、「えっ、何で!?」「凄い!」と思うことがよくありますよね。
けれどもこれは、そんなに凄い事では無かったりします。
マジックの世界では、これはコールド・リーディングと呼ばれています。
会話の内容や視線、しぐさなどから相手の情報を読み取り、あたかも知るはずが無かったことを見通したかのように思わせるテクニックです。
例えばマジシャンは、心の中で挙げて貰った数字を言い当てる時に、「一般的に、真ん中くらいの数字を選ぶ人が多いんですけど・・」と言いながら、相手の表情などを伺います。
相手が一部でも表情に変化を見せたら、マジシャンは、「真ん中の数字を選んだのだろうな」と判断します。
そうやって会話をすることで、選択肢を絞り込んでいきます。
コールド・リーディングは慣れれば誰にでも同じようにできるテクニックで、これを応用したものは世界中に色々とあります。
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自分の事を言い当てられるバーナム効果の条件
自分の事をズバリと言い当てられるバーナム効果ですが、これが最大限に効果を発揮するのには、特定の条件があります。
まず1つが、あなた以外の多くの人にも当てはまる事なのに、「あなただけに当てはまる」と思えるようなことであることです。
例えば、占い師が水晶を見ながら「あなたの家にある、あの白くて柔らかい物が良く無いのかも・・何なのかまではよく見えないんだけど・・」
と言ったとします。あなたは家の中を思いうかべて、「白い物・・貰い物の毛布ですか?」と答えるかもしれませんよね。
あなたは、あなたの家のことを言い当てられたように感じられるかもしれませんが、白くて柔らかい物なんて、実はどこの家にも1つは必ずあります。
またバーナム効果を向けられた相手が、信じやすい人であることも条件です。
そうでないと、すぐに見抜かれてしまうでしょう。
言い当てた人によってもバーナム効果は起きる
バーナム効果が発揮されるには、「誰が言い当てたか」ということも大切です。
その道の権威である大学教授によって言われたり、考案されたものであると、多くの人は「その道の専門家が言っているから・・」というところで信じやすくなります。
また心理学者から言われることも、同等です。
心理学者は人の心が読めるのでないか・・という思い込みが、多くの人の頭の中にはあります。
その人の持つブランドイメージが発言に信ぴょう性を与えるのも、心理学でいうハロー効果の1つです。
誰に言われたかで、人は信じてしまうところがあるのですね。
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バーナム効果はその内容によっても発生しやすい
バーナム効果は、言われた内容によっても生じやすくなります。
バーナム効果が生じやすいのは、何と言っても前向きでポジティブな内容です。
自分にとって共感しやすいので、受け入れやすいことが言えます。
その一方でネガティブな情報であると、人間の防衛本能から「そんなのはウソだ」と否定されやすくなります。
人間は自分に都合が悪い情報は信じたくないので、聞き入れられなくなることもあります。
バーナム効果を使いたい時には、相手が否定されたと感じないように使うことが大切なのですね。
表現方法で変わるバーナム効果の現れ方
バーナム効果は表現方法でも変わってくることがあります。
その1つがマルチプルアウトと呼ばれるものです。
マルチプルアウトとは、曖昧に表現する事で、どのようにでも解釈ができるような伝え方です。
このマルチプルアウトも、マジックや占いなどではよく使われます。
例えば、占い師から「あなたはあと数年のうちに、ある大事な決断を迫られることになるだろう。
その決断は、あなたの人生に大きく影響を及ぼすようになるだろう」と言われたとします。
けれども数年経って、特になにも大事な決断を迫られることが無かったので、それを報告すると「あなたの決断が正しかったから、あなたは今も変わらず順風な流れにのることができたのだ」と、占い師は言うかもしれません。
上記の例だけでなく表裏どちらでも取れるような表現であったり、極端な表現を避けることによって、どのような人に対しても「自分のことかも」と、受け取られやすくなります。
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バーナム効果は人だけに生まれる心理だった
心理学の言葉に、確証バイアスという言葉があります。
それは『人はじぶんにとって都合の良い情報ばかりを、選択して信用する』ということです。
世の中、色々な情報が溢れています。
その中で、正反対のことが言われているということも、よくあります。
例えば「たんぱく質を取る事は、自己免疫疾患を防ぐことに通じる。卵を1日に2~3個食べると良い」という情報もあれば、「腸に負担をかけないために、肉類だけでなく卵も控えるべき」というようなことです。
正反対のものではなくても、「タバコは体に良く無いから禁煙すべき」というのもよく見かけます。
タバコは吸わない人はこのような情報を見ると「やっぱりそうだ」と、タバコ=悪との思いを強くします。
けれどもタバコを吸う人は、そのような情報を否定し、「タバコを吸ったからと言って、皆が肺がんになるわけではない」と反論し、軽視します。
自分の都合によって情報を選択するというのは、人間だけです。
よってバーナム効果は、人間だけに生じる効果であると言えます。
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恋愛におけるバーナム効果の使い方をマスター
恋愛がうまくいくように、バーナム効果を上手く取り入れたいと思う人は多いでしょう。
恋愛に対してピュアなロマンチストの人は、本当に自分のことを理解してくれる人を求めています。
そのような人が現れたら、その人のことを「運命の人だ!」と感じる事もあるかもしれません。
そのような時にバーナム効果が有効です。
例えば、以下のことを挙げることができます。
「あなたってどんなことにでもまっすぐで、頑張り屋さんだよね。でも、頑張り過ぎて疲れてしまってるみたいで、私は気にかかっている」
「あなたは人のためになりたいと思っているよね。でも、時に自分を犠牲にしてしまうこともあるのかもしれないね」
上記は、多くの人に当てはまることだと思います。
けれども誰かから自分に向けて言われたら、「自分のことだ」と思って、「この人は自分のことをよくわかってくれている!」と感じませんか?
相手はあなたからの気遣いに感謝し、あなたに熱中するようになるかもしれません。
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バーナム効果は営業に活かせる心理効果です
バーナム効果は、営業の場面でも生かすことができます。
営業職の人は、顧客との信頼関係が大事です。
そして顧客にあなたから「買わされた!」と思わせないことが大事で、「自分で決断した」と思って貰えるのがベストだと感じる人も、営業職をされている方には多いのではないでしょうか。
営業職は豊富なマーケティングを元に、どの客層がどのようなニーズを持っているかということを、既に把握していることが多いでしょう。
その二―ズに対し、以下のようにあなたの方からアプローチする際に力を発揮するのが、バーナム効果です。
例えば高齢の方に対して、以下のように言葉をかけることができるでしょう。
「毎日外出もされ、本当にお元気でいらっしゃいますよね。でもやっぱり、この先大丈夫だろうか・・と心配されることもあるのではないですか?」
「スマートフォンとか、とてもよく使いこなされていらっしゃいますよね。本当に素晴らしいです。頭が下がる思いです。ですが、そういう機器を扱っていらっしゃるからこそ逆に騙されることとか、心配されることもあるのではないですか?」
顧客はそのように言ってくれたあなたを「わかってくれる人」として信頼してくれるでしょう。
さらに心理学の1つに、「Yes」を答えると次の質問に対しても「Yes」と言いやすくなる、というものがあります。
「Low-Boll(ローボール)」というテクニックです。
最初にバーナム効果で「Yes」と言って貰ったことにより、次の話しにも耳を傾けて貰いやすくなります。
結果として、商談成立につながりやすくなることが言えます。
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占い師は千里眼でなくバーナム効果で未来を照らしてくれる
占い師に相談すると、「えっ!なんでそんなこと知ってるの!?」と思うことを言い当てられることも、あるかもしれません。
人は自分のことを理解し、共感してくれる人を求めていると言えます。
けれども身近な人とのコミュニケーションでは、その人が身近な存在だからこそ逆に聞きにくいと思っていることも、あるのではないでしょうか。
占い師はバーナム効果を使って、相談者の言葉にしていなかった思いなどもくみ取り、その気持ちなどを肯定してくれるでしょう。
そういう意味では、カウンセラーと同じ役割を果たしてくれると言っても良いかもしれません。
占い師に相談するのは、大抵自分の未来について決めかねていることがある時でしょう。
占い師に相談する事でスッキリし、自分がどう動いていけばいいのか足元が固まるような思いがするのは、占い師が未来を見通す千里眼だからなのではありません。
占い師はバーナム効果によって、未来を照らしてくれるのだと言えましょう。
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バーナム効果の使い方の違いが良い宗教と悪い宗教の差
バーナム効果は、宗教の場面にも活用されています。
日本人の中には「自分は無宗教者です」「12月にはクリスマスをするし、新年にはお寺に初詣に行く普通の日本人です」と言う人も多いでしょう。
そのように、日本人には宗教に対して不信感であったり、あまり近づかないようにしている人も多いかもしれません。
けれどもそれは、俗にいう「良い宗教」「悪い宗教」の区別がされてないために起こると言えます。
宗教に頼りたくなる時は、その人の心がとても弱くなっている時であることが多いでしょう。
「悪い宗教」は、その弱くなった心に付け込みます。
例えば伴侶を亡くしたばかりの人に対し、「とてもお辛いですね。亡くなった旦那さんが、もう一度戻ってきてくれれば・・と考えていらっしゃるのではないですか?
また、旦那さんがあの世で元気にしているか、気になっていらっしゃるでしょう。うちの宗教を信じれば、旦那さんにとっての最善の供養を致しますよ」と、声をかけます。
また信者に対して救済を約束する代わりに、その宗教を信じないことで起こる悪い結果について伝えるということもあるでしょう。
他の宗教を否定し批判することで、その宗教だけに目を向けさせようとします。
その一方で「良い宗教」は、その宗教を心のよりどころとすることができるので、信者は世の中に起こることへの信頼感を強め、感謝の気持ちを持って日々過ごすことができます。
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バーナム効果より具体的に言い当てる統計学
今まで「自分にも当てはまる!」と思わせるバーナム効果について述べてきましたが、バーナム効果よりも具体的に、統計学に基づいてその人の性格特性や行動特徴を言い当てるものがあります。
それが、プロファイルと呼ばれているものです。
刑事ドラマなどで、プロファイリングとして見聞きされたことがある人も、多いのではないでしょうか。
プロファイルは統計学に基づいた犯罪捜査の方法であり、犯罪現場に残された痕跡から、犯人の行動パターンやどのような性格傾向を持つか、どのような年齢でどのような環境に住んでいるか、といったことを予想します。
プロファイルがベースにする統計学とは、数千~数万人の人から採取したデータに基づき、犯罪現場に残された痕跡と比較する事で、犯人の特性を明らかにするものです。
統計学というデータのしっかりしたものがベースにあるだけに、そこで割り出された事には高い信ぴょう性を持つとされます。
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