カタレプシーは自分で自分の身体のコントロールがきかない状態の一種ですが、その原因は様々です。

 

ちょっとしたコツがあればすぐに脱出できるものもあれば、自分一人の力だけではどうしようもできないため誰かの助けを必要とするものまで、原因ごとに治療方法は異なります。

 

またカタレプシーについてよく知っておくと、催眠術法にチャレンジする際のポイントが分かるようになります。

 

放置しておくと精神や生命にダメージを与えてしまうかもしれないカタレプシーの危険性について知っておきましょう。

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目次

カタレプシーとはどういう症状か

 

カタレプシーとは精神医学の用語の1つで「catalepsy」と表記します。

 

強硬症あるいは蝋屈症とも呼ばれ、自分の意思で姿勢を変えず、受動的にとらされた姿勢を長時間維持したままの状態を指します。

 

その様子がまるで鑞人形のように見えることから蝋屈症と表現されます。客観的にみると不自然なほど、自発的に肉体を動かさなくなります。

 

緊張病症候群の症状のうちの一つで、意欲障害に原因があると考えられます。

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カタレプシーも含まれる緊張病の種類

 

緊張病(カタトニア)とは興奮や昏迷といった症状をメインに、次のような特徴的な症状を示す症候群を指します。

 

症状はいつもおなじものが出るとは限らず、本人が自発的な行動を取ることが難しい一方で、他者からの働きかけにも拒絶的になります。

 

カタレプシー

誰かにとらされた姿勢を長時間保持してしまう症状です。

 

全くの受動的になり、たとえば誰かが首をかしげた姿勢をとらせた場合、そのままの姿勢を保持し続けます。

 

蝋屈症

蝋屈症(ろうくつしょう)はカタレプシーの一つの様態で、まるで蝋人形になってしまったかのように、長時間同じ姿勢を保持し続けます。

 

自分の意思では姿勢を変えられない状態です。

 

昏迷

意識はあるものの、周囲の働きかけに対して反応を示すことができない状態を指します。

 

周囲の状況を理解することはできるものの、話しかけても無反応です。

 

焦燥

特に理由もないのに焦ったり苛立ったりする様子を指します。

 

無言症・拒絶症・しかめ面

表情や態度、行動で拒否を示します。

 

外部からの刺激に対して拒絶感を示すあまり、拒食などの行動をとる場合もあります。

 

また言語障害は起きていないのに、優位の人間に話しかけられても返答がありません。

 

自発的に言葉を発することも見られません。

 

不自然な姿勢

天井に向けて手をあげたまま、あるいは足をあげたままなど、不自然でつらい姿勢をとったまま保持し続ける状態を指します。

 

自発的な場合もあれば受動的に不自然な姿勢をとったままの場合もあります。

 

衒奇症

衒奇症(げんきしょう)とはまるでお芝居をしているようなわざとらしい言動や挨拶、奇妙な身振りをとってしまう症状を指します。

 

日常生活ではみられないオーバーなリアクションやセリフなど、わざとらしさを感じさせる言動をとるようになります。

 

常同症

目的のない運動を延々と行ったり、意味のない言葉を繰り返してしまうなど、同じ言動を繰り返す症状です。

 

また同じ場所にもこだわり続けます。

 

動かすことも困難ですが、一度はじめた言動を止めるのにも時間がかかります。

 

反響言語・反響動作

相手の言葉を繰り返す「オウム返し」や、相手のとった動作をひたすら反復するなどの症状です。

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カタレプシーの原因第一位は精神疾患

 

カタレプシーの原因としては様々な精神疾患が挙げられます。

 

また原因が何であれ、カタレプシーの症状は生命を維持するために必要不可欠な清潔や飲食の確保、休息がとれなくなるという危険性と隣り合わせです。

 

原因となるメンタル上の治療だけではなく、身体のケアも必要となるので早めの受診と治療が必要です。

 

カタレプシーを引き起こす可能性のある精神疾患については次のようなものが挙げられます。

 

急性ストレス障害

急性ストレス障害とは直接的あるいは間接的に強い衝撃を受ける出来事を体験した後で、くり返しその記憶が蘇り不安に陥ったり思い出さないようにふるまうことを指します。

 

PTSDに似ていますg、急性ストレス障害の場合、衝撃を受けた出来事から約4週間以内に症状を引き起こし、3日~一ヶ月ほどで症状がおさまるという点において異なります。

 

 

 

自閉症

自閉症は先天的な発達障害の1つです。

 

「社会性と対人関係に障害を引き起こしている」「コミニュケーション能力や言語の発達の遅れ」「行動や興味が極端に偏っている」という3つの特徴がありますが、その症状の程度には個人差があります。

 

双極性障害

躁状態とうつ状態を交互に繰り返す精神疾患を指します。

 

躁状態とは異様なほど気分が高揚している状態で、明るく陽気に振る舞う一方で常にイライラしたり怒りっぽくなり、破産や破壊的な逸脱行動にでることもあります。

 

うつ状態とは感情や興味が低下してしまい、気分が極端に落ち込む状態を指します。

 

気分障害

気分障害は感情障害とも呼ばれ、うつ病や双極性障害を包括的に含む概念です。

 

一時的ではなく、比較的長期にわたり気分が低下したり激しい浮き沈みが起き、精神だけではなく身体的な影響を生じる場合もあります。

 

統合失調症

統合失調症とは幻覚や妄想といった精神疾患を引き金に、社会性や日常生活をおくることが困難になる症状を指します。

 

感覚・思考・行動が病気を原因として歪んでいるものの、それを本人が認知できないという特徴があります。

 

PTSD

PTSDとは日本語で「心的外傷後ストレス障害」と呼びます。

 

強烈な衝撃体験あるいは精神的なストレスを受け、その経験が時間が経ってからも消えず時折蘇っては強い恐怖や不安を感じる症状を指します。

 

強い衝撃を受けた出来事の後ですぐに発症する場合もあれば、人によっては数年後に発症する場合もあります。

 

放置したり悪化すると鬱症状や気分障害、不眠などの症状がでることもあります。

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統合失調症について詳しく解説

 

カタレプシーを引き起こす原因のうち、約5%ほどが統合失調症の発症だと考えられています。

 

具体的には統合失調症とはどのような疾患なのか解説していきます。

 

統合失調症とは

統合失調症とは脳の様々なはたらきに、直接的な外傷など原因がないにもかかわらずまとまりがなくなる症状を指します。

 

脳のはたらきのまとまりがなくなるとは、具体的には思考・考え方や気持ち、感覚、行動などに影響が出ます。

 

つまり行動・認知・情動のいずれかの機能に障害がでます。

 

感覚や認知そのものに歪みが生じるために、なかなか本人だけの力では修正できなくなります。

 

複数の病気が複合的に現れている状態とも考えられており、その原因も生物学的な要因から環境的な要因まで様々な要因が絡み合って発現すると考えられています。

 

治療には長い時間がかかる上に、症状も刻々と変化していきます。

 

ただし決して快復しない病気ではないです。

 

家庭内にとどまらず、社会的なサポートや的確な治療により、生活障害や病識障害を緩和させ症状を改善させることはできます。

 

統合失調症の症状

統合失調症の特徴的な症状は大きく次の3点に分けられます。

 

・陽性症状

自分が周囲の人間に虐げられているといった妄想や幻覚、悪口が聞こえるなど主に被害妄想体験を感じる。

多くの場合、精神に変調をみせる。

 

・陰性症状

やる気など気力の減少や無関心などの自発性の低下、意欲低下、部屋に引きこもり社会との関わりを絶とうとする社会性引きこもりなど。

感情の起伏喪失によりうつ病と診断されることもあります。

 

・認知機能障害

忘れっぽくなったり臨機応変に振る舞えないなど、記憶力や集中力、作業能力の低下がみられます。

 

統合失調症の原因

神経伝達物質に何らかの異常が出たために脳機能のはたらきがうまくいかなくなることが原因だと考えられています。

 

なぜ神経伝達物質に異常が出るのかについては、個人差があります。

 

遺伝の場合もあれば、強いストレスという環境的な要因が原因の場合もあります。

 

また性格も一定の影響があると考えられています。

 

たとえば神経質であったり傷つきやすい繊細さをもちあわせていたり、内気でおとなしい人や人との関わり合いが苦手で一人でいることが多い人などに統合失調症の症状が表れることが多いと考えられています。

 

いずれにせよ1つの要因だけで発症することはまれです。

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統合失調症をしっかり治療してカタレプシーを改善しよう

 

統合失調症は陽性症状や陰性症状、認知機能障害などを引き起こします。

 

それぞれの状態にあった治療を受けることでカタレプシーも改善できます。

 

具体的な治療の内容とポイントは次の通りです。

 

統合失調症は病期ごとに目標を変えて柔軟な治療が必要になる

 

統合失調症は常に一定の症状が出るわけではなく、さらに「急性期」「回復期」「維持期」と病期が分かれます。

 

それぞれの病期ごとに治療の目標を変えて治療方法も変える必要があります。

 

まず急性期は陽性症状が顕在化するため、まずは興奮状態を鎮め幻覚や妄想、不眠といった症状を軽減または緩和することで生命維持活動を保つ必要があります。

 

次に回復期には、陽性症状が軽減してるものの疲労感が蓄積されやすいという特徴があります。

 

陽性症状を引き起こしていたときの自分の状態を客観的に見つめなおすことができるため、精神的な疾患を引き起こした自分自身への不安に苛まれるのもこの回復期です。

 

そのため心身の疲労や不安、抑うつといった症状に対する治療が必要です。

 

維持期についてですが、急性期も回復期も乗り越えた後、対人関係や生活機能を維持するために必要な治療やリハビリを行います。いわば再発防止の期間になります。

 

薬物療法

まず急性期には、陽性症状を緩和・軽減させるための薬物療法が重要になります。

 

陽性症状を緩和するために使用されるのが抗精神病薬です。

 

2000年頃より治療に使用される抗精神病薬はペロスピロン、オランザピン、アリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドン、クロザピン、リスペリドンなどです。

 

ただし副作用もそれなりにあり、脂質代謝異常や血糖値を上げやすくしたりメタボリックシンドロームを引き起こしやすくなるなどのデメリットもあります。

 

そのためどのような薬をどれくらい使用するかは、患者の症状や生活環境などを考慮する必要があります。

 

やがて回復期にさしかかると、今度は塞ぎがちな意欲や気分を向上させるための薬物治療が必要になります。

 

そして維持期にさしかかると、再発・予防のために身体の調子を見ながら適宜薬物療法も取り入れていきます。

 

電気けいれん療法

頭部(両前頭葉の上にあたる皮膚)に電極をとりつけ通電し、人為的に痙攣を引き起こす治療方法です。

 

アメリカや日本ではうつ病、躁鬱病、統合失調症に対する治療の一環として行っています。

 

現在のところ副作用は極めて低いと考えられています。

 

心理社会的療法

統合失調症は感覚や認識が歪んでしまうために社会生活や日常生活を正常に送れなくなる症状です。

 

そのため社会復帰のためにも、認知の歪みを正し社会性を再び養うために心理社会的療法によるアプローチが必要になります。

 

具体的には患者自身に対し認知療法や対人関係の結び方、生活リズムの取り戻し方についてのリハビリやサポートを行います。

 

また患者の家族に対して病気に関する正しい知識を身につけて貰い、理想的なサポート体制を整えるように手助けする役割もあります。

 

 

統合失調症の再発と予防に必要なこと

統合失調症はなかなか予防が難しく、10人に一人は発症する可能性があるといわれている非常に身近な精神疾患です。

 

ストレスが溜まりやすい環境などが発症の引き金になっているとも考えられていますが、生物学的な要因もありますので一概にはストレスだけが原因とも言えません。

 

ただし再発防止のためには様々な手段があります。

 

まずは維持期におけるリハビリテーション、特に社会参加や対人関係の改善が欠かせません。

 

またセルフモニタリングや体重管理、再発のサインについて正しい知識を身につけておくことも重要です。

 

大切なのは、統合失調症に関する正しい知識を身につけておくことです。

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抗精神病薬にはカタレプシーの惹起作用がある

 

惹起作用(じゃっきさよう)とは、ある症状を引き起こす作用です。

 

抗精神病薬の使用にはカタレプシーの惹起作用があるといわれています。

 

具体的には以下のような問題が起きる可能性があります。

 

抗精神病薬が身体に効果を発揮する理由

精神科で処方される薬は大きく分けて「メジャートランキライザー」と「マイナートランキライザー」のふたつに分類されます。

 

メジャートランキライザーは鎮静力の強い薬、マイナートランキライザーは鎮静力のおだやかな薬です。

 

抗精神病薬は主にメジャートランキライザーに分類されます。

 

メジャートランキライザーがどのように興奮や不安を抑えるのかというと、神経に作用してドーパミンのはたらきをブロックします。

 

すると幻覚や妄想といった精神疾患の症状がおさえられます。

 

このはたらきからメジャートランキライザーは神経遮断薬とも呼ばれています。

 

そのため統合失調症や双極性障害、その他の不安障害の治療によく使用される薬なのです。

 

一方でマイナートランキライザーは抗不安薬として使用されます。

 

抗精神病薬は受容体に作用する一方でカタレプシーなどの錐体外路症状を起こす可能性がある

抗精神病薬はメリットを活かしデメリットを改善するため日々、研究が続けられています。

 

最近の医療の現場で使用されるようになったのが新型にあたる第2世代抗精神病薬です。

 

陽性症状の改善に欠かせないドーパミンをブロックする機能はもちろん、陰性症状の改善に欠かせないセロトニンのブロック機能も持ち合わせているのが特徴です。

 

SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)はその名の通り、セロトニンとドーパミンの両方に対する拮抗作用があります。そのため陽性症状の改善のみならず陰性症状の改善にも効果があり、従来の抗精神病薬に見られる副作用の恐れも低くなっています。

 

その反面、錐体外路症状やカタレプシーなどの副作用が起きるおそれがあります。

 

中にはMARTA(多受容体作用抗精神病薬)のように、錐体外路症状が副作用として出にくいように開発された薬もありますが、効果が薄くなってしまうという欠点や肥満が起きやすくなるといった欠点もあります。

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自分でできる統合失調症セルフチェック

 

統合失調症はセルフチェックも再発予防のために必要になります。

 

次のチェックリストを確認してみて下さい。

 

NO. 質問 はい いいえ
1 自分にしか聞こえない声がする
2 極度の緊張や不安を感じる
3 知らない人の会話で自分の悪口が出てくるように感じることがある
4 頭の中が騒がしいせいで不眠気味、あるいは過眠になる
5 独り言が多くなった
6 ちょっとした物音でも過敏に反応するようになった
7 誰かに盗聴・監視されている気がする
8 とっさの判断力が鈍くなった
9 最近、何事にも集中できなくなった
10 何もかもが億劫で、やる気が出ない
11 喜怒哀楽のコントロールが出来ない、あるいは感情の起伏が薄い
12 記憶力が低下し、直前のことでも思い出せなくなっている
13 頭が混乱して考えがまとまらないことが多い
14 部屋に引きこもり外出しなくなった
15 他人と話すことに苦痛を感じるようになった

 

当てはまる項目が多ければ多いほど、一度医療機関で診察してみることをおすすめします。

 

自発行動を制御される神経系疾患もカタレプシーの原因

 

カタレプシーの原因は精神疾患だけではなく、神経系疾患も考えられます。

 

可能性のある神経系疾患は次の通りです。

 

てんかん

てんかんとは慢性的な脳疾患であり、大脳の神経細胞のはたらきに大幅な電気の乱れが生じることで意識がなくなったり身体各部に症状が表れます。

 

一度は症状が治まったかに見えても、くり返しおきることに特徴があります。

 

原因については遺伝や脳梗塞・脳炎といった脳の障害が考えられますが、原因らしい原因が見つからない場合もあります。

 

パーキンソン病

脳に異常が起きたために身体の動きに障害を引き起こす病気です。

 

動作が遅くなったり小さくなったり、手足の震えやバランスがとれなくなったり、筋肉が固縮するなどの症状が起きます。

 

神経伝達物質の1つであるドパミンの分泌が十分に作られなくなることで引き起こされます。

 

またドパミンの減少に伴い、抑うつや認知症、幻覚のほか自律神経障害も起きます。

 

ハンチントン病

ハンチントン病は遺伝性の難病で、自分の意思に反して身体が動いてしまう「舞踏運動」や行動異常、精神異常、認知障害を引き起こします。

 

大脳基底核や大脳皮質の萎縮が原因となって発症すると考えられており、遺伝によって発症するため両親のどちらかが発症している場合、その子供も三十歳までには発症がみられることが多いです。

 

現在のところ根本的な治療方法はなく、神経症状や鬱症状、不随意運動などの症状の緩和が治療のメインとなります。

 

プリオン病

プリオン病とは脳に異常なプリオン蛋白が定着することで起きる脳神経細胞の障害です。

 

クロイツフェルト・ヤコブ病はプリオン病のひとつの症状になります。

 

一度発症すると行動異常や不随意運動、性格の変化や認知症などが起きます。

 

そして発症から約半年後には自発的な行動がとれなくなります。

 

プリオンという感染因子が原因となることまでは判明していますが、その機序についてはまだよく分かっていない部分が多い病気です。

 

治療方法も現在のところありません。

 

進行性核上性麻痺

進行性核上性麻痺とはパーキンソン症候群のひとつであり、認知症や眼球運動の障害、歩行障害、嚥下障害などが起きます。

 

パーキンソン病よりも進行が早く、治療方法はまだ確立していません。

 

脳内の部位で神経細胞が減少してしまうことが直接の原因だと考えられていますが、なぜ神経細胞が減少してしまうのか具体的な原因はまだ判明していません。

 

 

進行性多巣性白質脳症

誰もが感染しても発症までには至らないJCウイルスですが、免疫が低下すると活性化します。

 

そして脳内で多発性の脱髄病巣を引き起こします。

 

これを進行性多巣性白質脳症と呼びます。

 

発症すると、認知機能障害や失語、四肢の麻痺、視覚異常が起きます。

 

さらに症状が進行すると嚥下障害や不随意運動、脳神経麻痺などが起きるようになります。

 

難病であり、まだ有効な治療方法は確立していません。

 

可逆性後頭葉白質脳症

可逆性後頭葉白質脳症は頭痛を伴う疾患で、急激に血圧が上昇することで血管原性浮腫が起きます。

 

主に産褥期に起きるとされ、男性に比べ女性の発症率は約3倍です。

 

治療のためには血圧コントロールや症状を引き起こす原因となる薬剤の服用中止などが有効です。

 

脳腫瘍

脳腫瘍とは脳や脳をとりまく組織に発症する腫瘍の総称で、腫瘍ができる部位によって様々な脳機能の疾患が生じます。

 

治療をしたとしても後遺症が残る場合が多く、早期発見や治療・リハビリなどが大切になります。発症は10万人に一人といわれています。

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カタレプシーと関係の深い脳疾患の代表、脳腫瘍とは

 

頭蓋骨の内部には様々な脳細胞が存在しています。

 

まず頭蓋骨の下には脳を保護するために髄膜が、そして脳そのもの、脳神経、下垂体などがあります。

 

髄膜は皿に硬膜、クモ膜、軟膜の三層に分かれています。

 

頭蓋内組織に発生する腫瘍の総称を「脳腫瘍」と呼び、様々な症状が病状の進行によって表れます。

 

特にクモ膜から発生する腫瘍を髄膜腫と呼びます。

 

カタレプシーと関係の深いといわれている脳腫瘍についてくわしく見ていきましょう。

 

脳腫瘍の症状

脳腫瘍は主に脳とその周辺の組織に発症する「原発性脳腫瘍」と、脳以外の臓器で発生した腫瘍が血液の流れによって脳とその周辺組織にも発生してしまった「転移性腫瘍」の2種類に分けられます。

 

どちらの場合も、腫瘍のせいで頭蓋骨内部の圧力が上がってしまったために起きる頭蓋内圧亢進症状(ずがいないあつこうしんしょうじょう)と、腫瘍が発生した部位毎に脳の機能に障害が起きる「局所症状(巣症状)」の二通りの症状に分けられます。

 

具体的には次のような症状が見られます。

 

【頭蓋内圧亢進症状】

・頭痛

・吐き気

 

・意識障害

・マリオット盲点

 

【「局所症状(巣症状)」】

・感覚障害

・認知障害

 

・失語

・尿失禁

 

・視覚障害、視野障害

・性欲低下

 

・ホルモン分泌の異常

・聴力障害

 

・失調歩行

・運動麻痺

・眼球運動障害

 

脳腫瘍による局所症状は末梢神経や血管由来の疾患と異なり、部分的に現れるのではなく左側や右側などまとまって現れるなどの特徴があります。

 

脳腫瘍の原因

脳腫瘍の原因についてはまだ不明な部分も多いです。

 

ただし「遺伝的なもの」と「脳以外で発生したがんが血管を通して転移してきた」という2つの要因が考えられます。

 

特に脳以外で発生した癌の転移は、肺がんが最も多く、次に乳がんが多いと考えられています。

 

また遺伝的な側面があると考えられているものの、親が脳腫瘍を発症したからといって必ずしもその子供にも脳腫瘍の発症が起きるとは限りません。

 

また原因とは無関係ですが、増殖スピードを速めると考えられる過度のストレスや高タンパク・高脂質の食事など普段の生活習慣にも注意が必要です。

 

 

脳腫瘍は早期発見が重要な鍵

 

脳腫瘍は発生する部位にもよりますが、発生すると脳機能のはたらきを阻害します。また血液によりがん細胞が転移する恐れもあります。

 

そのため早期発見が重要なカギとなります。

 

どのようにして脳腫瘍を検査するのか、治療に関して何ができるのかは次の通りです。

 

脳腫瘍の検査方法

脳腫瘍の検査方法として、主にCT検査、MRI検査、脳血管造影検査が行われます。

 

CT検査とMRI検査では磁気を利用することで頭蓋骨内部に腫瘍があるかどうかを調べます。

 

脳血管造影検査では造影剤を使用し、X線によって脳血管の流れを撮影します。

 

さらにくわしく検査を行うためには、腫瘍組織を採取し顕微鏡で観察する病理検査が必要になります。

 

脳腫瘍は早期発見が重要

脳腫瘍は良性と悪性の2種類があります。

 

良性の脳腫瘍は増大のスピードが遅く、他の細胞との境界線がハッキリとしているため比較的かんたんに切除ができます。

 

一方悪性は増殖スピードが速く、手術での摘出も難しいです。

 

両方とも放置していると脳細胞を圧迫してしまいさまざまな症状が引き起こされます。

 

そのため早期に発見し治療を施すことが重要になるのです。

 

脳は重要な器官であり、他の臓器のように全て摘出することはできません。

 

脳腫瘍がまだ小さく適用できる治療方法が多い内に対処する必要があります。

 

脳腫瘍の治療方法

脳腫瘍の治療方法には複数の方法があります。

 

・手術(外科療法)

癌病巣そのものを手術によって切除します。

 

・化学療法

抗がん剤の力を利用して、がん細胞の増殖を抑えます。

ときにはがん細胞を破壊することもできます。

 

身体のどこに癌が発生しても治療することができるのがメリットです。

 

・放射線療法

腫瘍を縮小させる、あるいは成長を遅らせるために放射線を照射する治療方法です。

 

外科手術と異なり、身体を切り開く必要はないため体力の低下した高齢者や子供の患者にも適用できます。

 

さらに標準的放射線治療と定位放射線照射の2種類の治療方法があります。

 

・免疫細胞療法

患者本人のもつ免疫細胞を体外に培養してから身体に戻すことで、がんの症状を緩和したり転移を防ぐ治療方法です。

 

最近始まった治療で、副作用の少なさから注目を集めています。

 

・陽子線治療

がん細胞だけにピンポイントに作用する陽子線を用いて行う治療方法です。

 

通常のX線を用いた放射線治療のデメリットである「がん細胞以外の細胞も傷つけてしまう」という問題を解決する治療方法です。

 

・重粒子線治療

陽子線治療の2~3倍、がん細胞に対する殺傷力の強い重粒子線を照射して行う治療です。

X線では治療が難しい、身体の深部にあるがん細胞に対しても有効です。

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身体疾患によってもカタレプシーが起きる

 

精神的疾患だけではなく、身体疾患が引き金となり器質性精神病を引き起こすこともあります。

 

そのため身体疾患がカタレプシーを引き起こす場合もあるのです。

 

具体的には次のような身体疾患に注意が必要です。

 

自己免疫性疾患(SLE)

自己免疫性疾患とは免疫系が正常な組織や細胞まで過剰に攻撃してしまう疾患を指します。

 

影響が全身に及ぶ場合もあれば、特定の臓器だけが影響を受ける場合もあります。

 

リウマチに代表される膠原病は全身に影響を受けるため、全身性自己免疫疾患に分類されます。

 

 

代謝障害

代謝障害とはファブリー病やテイ=サックス病に代表される代謝が正常に行われなくなる疾患です。

 

通常わたしたちの身体の中では取り込んだり作り出した物質を合成・分解する「代謝」というはたらきが行われています。

 

この代謝をスムーズに行えるように命令を下すのが酵素です。

 

しかし生まれつき遺伝子になんらかの問題を抱えていると酵素が上手く作られなかったり、作り出してもはたらきが弱くなります。

 

そのため代謝の異常が発生すると考えられています。

 

そのためうつ病などの精神疾患や運動麻痺などの脳機能障害、胃腸障害、聴覚障害などが起きます。

 

薬剤性による身体疾患

薬剤の服用によりうつ病やカタレプシーなどの症状を惹起してしまうことがあります。

 

主にカタレプシーを引き起こす原因となると考えられる薬剤は以下の通りです。

 

・シクロスポリン

・セファロスポリン

・コカイン

 

感染症

感染症の副作用により、カタレプシーを引き起こす場合もあります。

 

カタレプシーを引き起こす可能性のある感染症については以下の通りです。

 

・結核

・梅毒

・HIV

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催眠の導入の第一歩はカタレプシー

 

ところで「自分の意志ではなく他人にとらされた姿勢をそのまま保持してしまう」というカタレプシーの症状は何かに似ていると考えた人もいるのではないでしょうか。

 

それは「催眠術」ではないでしょうか。

 

テレビなどを見ていると、被験者が暗示にかかり、自分の意志とは関係ないことをしてしまうというシーンがありますよね。

 

暗示を掛けた人が「よし」と暗示を解かない限り、硬直したままであったり全くの無反応になったりとしていますが、この状態はまさしくカタレプシーです。

 

つまり催眠術とは相手がカタレプシーの状態になるように誘導もしくはトランス状態に暗示を掛けることだといえます。

 

初心者でもできるカタレプシー催眠術法

 

原理を知っておけば、初心者であってもカタレプシー催眠術法を再現することは可能です。

 

その方法については次の通りです。

 

まずは被験者の人選が重要

当然のことですが、催眠術にはかかりやすい人とかかりにくい人がいます。

 

初心者が催眠術を成功させるために最も重要なのは人選といえます。

 

暗示にかかりやすい人を被験者として選びましょう。

 

ポイントは次の通りです。

 

・素直な人

・感情表現が豊かな人(感情を抑え込まない人)

 

・創造力が豊かな人

・誰かに依存しやすい人

 

・集中力の高い人

 

職業で言えば芸術系や俳優など、目の前にないものに対して反応できる人の方が暗示にかかりやすくなります。

 

人体構造について理解しておく

赤ちゃんの足の裏に触れると、意志に反して指が開きます。

 

これを「バビンスキー反射」といいますが、人体の構造上、自分では意識していなくてもとってしまう行動というものがあります。

 

この人体構造について理解しておくことが催眠術にとっては重要になります。

 

いくら相手が暗示にかかりやすい人だとしても、「片足で立って片腕を背中に回しながら片手でバナナの皮を剥いて」などの無理な姿勢かつ複雑な命令を出して遂行させることはかなり難しいものです。

 

ですからあらかじめ人体構造について理解しておくことが必要になります。

 

たとえば催眠術の基本的なパフォーマンスの1つに「組んだ両手の人差し指を放し、その人差し指を見つめ続けさせるといつのまにか暗示にかかり、人差し指がくっついてしまう」というものがあります。

 

これは人体の構造上、離れた人差し指はもともと自然とくっつきやすい上に、集中することでますますくっついてしまうという人体構造を利用した催眠術だからです。

 

この場合、催眠術を掛ける人が被験者にどんなタイミングで合図を送るのか、開閉や反応に対してスイッチであるかのような声かけを行うかによってまるで催眠にかかったかのように演出するのがポイントとなります。

 

話術で何とかなる問題ですので、初心者であっても多少の練習でマスターすることができます。

 

 

カタレプシー催眠術法の誘導方法

初心者でもできる催眠術について解説しましたが、ほとんどの場合、下準備にかかっています。

 

ただしいざ催眠術を行うとなると、それなりに合図のかけかたなどにコツが必要になります。

 

最も成功しやすいのがカタレプシーの状態に持ち込むこと、すなわち相手を硬直させるという催眠術です。

 

具体的には、まず相手に手を組んでもらいます。そして自分の手を重ね、「だんだん手が硬くなってきましたね。石のようにこのままあなたの手は動かなくなりますよ。ほら、だんだん硬くなってきた。集中してみて下さい、硬くなったのがよく分かるでしょう?

 

さらに10秒経ったら、もう完全にあなたの手は動きません。感じてきましたね。では3、2,1、この通りもう離れません」というように、相手の集中力を高めるように声を掛けます。

 

ポイントは自分に自信を持って相手に語りかけることです。

 

誘導の仕方は非常にシンプルです。

 

ただ相手に信じさせること、そして自分もその瞬間は信じることがコツになります。

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カタレプシーと対極にある筋ジストロフィーは指定難病

 

筋ジストロフィーは難病指定を受けている疾患のひとつで、徐々に筋力が低下していく遺伝性筋疾患の総称です。

 

骨格筋壊死・再生をくり返すことで筋萎縮や筋繊維化が生じるために筋力低下が引き起こされます。

 

多くの種類が存在し、その種類毎に原因や治療方法、進行の度合いや症状の出方が異なります。

 

具体的にはどのような症状なのか解説します。

 

筋ジストロフィーの症状

筋ジストロフィーは主に運動機能の低下を引き起こしますが、病型分類によりさらに症状や臨床的経過、発症年齢、遺伝形式は細かく分かれます。

 

種類ごとに運動機能の低下に加え、以下のような疾患が起こると考えられます。

 

・ジストロフィン異常症

近位筋優位

 

・肢帯型

近位筋優位だが、1歳以降に発症する

 

・先天性

近位筋優位だが、1歳未満で発症する

 

・顔面肩甲上腕型

肩甲帯・上腕・顔面筋優位

 

・筋強直性

筋強直現象、遠位筋・咀嚼筋・胸鎖乳突筋優位

 

・エメリー・ドライフス型

肩甲帯・上腕・下腿優位、心伝導障害、強直性脊椎・拘縮(肘・足首)

 

・眼咽頭筋型

眼瞼下垂、咽頭筋優位

 

筋ジストロフィーの研究はまだまだはじまったばかりで、今後遺伝子の解析が進むことによってまた分類も変わっていく可能性が高いです。

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筋ジストロフィーの原因

筋ジストロフィーの主な原因は遺伝子の変異にあります。

 

遺伝子が変異することでタンパク質の機能異常が起き、細胞機能に障害が発生します。

 

すると筋肉の変性および壊死が起きます。

 

筋肉が破壊されると筋力の低下はもちろん、繊維化・脂肪化が起き、身体各部の機能低下が起きます。

 

筋ジストロフィーの治療方法

原因や症状の分類と同じく、治療方法もまだ研究の途中です。

 

しかし症状を緩和するため、次のような治療方法が有効だと考えられています。

 

・薬物療法

ステロイド(プレドニゾロン、プレドニゾン)が効果を発揮する筋ジストロフィーの型もあります。

筋力の低下に作用し、少しでも歩行可能な期間をのばしてくれます。

 

・リハビリテーション

歩行や運動全般、呼吸など低下していく筋力をカバーし転倒などによる事故を予防するためのリハビリテーションが行われます。

 

・遺伝子治療

変異した遺伝子そのものを補強する治療方法で、まだ研究の途中です。

ただし今後、多くの患者を治療する手段として注目を集めています。

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