品質の均一化や作業の効率化のために生まれたルーチンワークという方式ですが、その本当の狙いや作業者のメリットは理解されていないことが多いようです。

 

今回は、ルーチンワークを作業者側からの観点で探ってみることにしましょう。

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ルーチンワークとは?言葉の意味を確認

 

言葉の意味を知るには、まずは単語の意味と組み合わせから。

言葉の意味を知れば、その言葉がもたらす状況や影響まで見えてくるものがあります。

 

routine work

何気なく使っているルーチンワークという言葉ですが、その元の英語は「routine work」で、定形的作業とか定常作業と約されます。

 

バラバラで見ると、「routine」は、決められた手順や日常的に繰り返されるもの、「work」は、作業や機能を表す単語です。

 

もう一つのルーチンワーク

仕事の中身だけでなく、始業前の準備や終業時の整理整頓のように、毎日繰り返される手順の決まった作業自体もルーチンワークです。

 

言葉の使われ方という面だけで考えれば、何の工夫も要らない、つまらない仕事といった意味で使われることもあります。

 

ルーチンワークの対義語はコレ!

 

あちこちで使われるルーチンワークという言葉ですが、知ったかぶりで乱用されることで、下らない作業を指す言葉のようにあ思われることがあります。

 

では、ルーチンワーク以外にどんな方式が有るのかを見ながら、ルーチンワークへの理解を深めてみましょう。

 

スポットジョブ

通常時は常勤者で賄えられていた作業が人手不足になったり、時期やイベント等によって、一時的、局所的に発生する仕事があります。

 

労働力の補充には派遣をお願いしたり、年末年始特有の会計業務を外注したりといった仕事は、スポットジョブで、それらに携わる作業をイレギュラーワークと言います。

 

オプショナルワーク

自分の受け持ちの定常作業はルーチンワークですが、その一方で、自分の余力で他を手伝うのは、オプショナルワークと言われます。

 

似たような使い方で、ツアーの工程表に無いルートに付け足されたものを、オプショナルツアーと言います。

 

アドホック

定常的なルーチンに対して、その場限りの対応のことをアドホックと言うことがあります。

アドホック(ad hoc)は、ラテン語の「特定の目的のための」「その場限りの」という意味です。

 

ルーチンの「決まりきった」に対して、「臨機応変に」と捉えるとピンと来ます。

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ルーチンワークは気楽な仕事?9つの職種を紹介

 

ルーチンワークの中身は手順に従った繰り返し作業です。

そのせいで、仕事そのものが単純で、気楽な仕事のように思われがちです。

 

ルーチンワークが適用される幾つかの職種を通して、それが本当に気楽な仕事なのかどうかを考えてみます。

 

工場のライン作業

ルーチンワークの代表は、工場のライン作業です。

 

製造の工程を幾つかに分けて、それぞれを専門的に特化する方法をライン方式と言い、大量生産に向いた生産方式で、流れ作業の中で自分に割り当てられた工程だけを、手順通りに正確に繰り返します。

 

もともと専門知識や熟練した技術をひつようとしないように生み出された方式ということもあり、決まっている手順を覚えるのに時間はかかりません。

 

ただし、工程の一部を担っていますので、作業の精度が低いと、その後の工程に影響を与えるため、集中と根気が必要です。

 

 

運転手

バスや電車といった、公共交通機関の運転手もまた、ルーチンワークの側面を持ちます。

決まったルートを決まった時間で運行することが求められ、それを守ることができないと利用者に迷惑をかける事になります。

 

とはいえ、その運行中に起こるアクシデントは様々で、発生時には臨機応変な対応が求められます。

 

運行マニュアルでも、できるだけアクシデントを避けるために多くの運行前準備が規定され、アクシデント発生時の対応についてもシステム化され、定期的な訓練によって、その妥当性が検証されています。

 

事務職

大企業では事務職の仕事も細分化され、職員毎のルーチンワーク化が進められています。

その成果は、それぞれの業務の専門家が進むことによる効率化と、取り扱う情報の範囲を限定することによる情報漏洩への対策という形で現れます。

 

更に、作業をルーチン化することで作業量を定量的に計ることが可能になり、作業配分の適正化を行いやすくするといったメリットもあります。

 

代行業

専門的作業をアウトソーシングするケースが増えているようです。

記帳や集計等の作業は、その作業自体は単純作業の繰り返しになるのですが、常時発生する作業ではない場合、その業務に特化した従業員を確保しておくのは無駄になります。

 

その為、その業務に特化した代行業者に作業を、あるいが業務まるごとを外注することで、余剰人員の発生を抑えることができます。

逆に、代行業者側としては、特定業務に特化して作業を続けることで、品質を高めることが可能になります。

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配達員

配達員の仕事も、配達という作業の繰り返しです。

 

更に、その配達という業務の内容も、集配所からの荷物の受け取り、伝票番号の確認、配達完了の報告、不在伝票の扱い等、それぞれの作業が手順として決められており、ルーチンワークとして進めることによって、業務の責任をシステム側で吸収することが出来るようになっています。

 

倉庫の搬出入

倉庫の搬出入には、機械の操作やタイミング、段階的な積み下ろしといった技術と計画が必要です。

そして、それらの技術を活かすには、その倉庫の都合に対する理解、空間に対して慣れといったものが大きく影響します。

 

そのため、倉庫の搬出入には専門の作業者を割り当て、業務をルーチン化することが効率的です。

 

清掃員

清掃員の作業もまた、ルーチン化が進んでいる仕事です。

 

準備、集塵、水拭き、ワックスがけ、乾拭き、撤収といった手順の流れはもとより、特殊な洗剤を用いた洗浄であったり、清掃員では対応が出来ない破損部分の報告なども、マニュアル化されて作業品質を保ちます。

 

更に、現場毎に清掃時間が決められており、担当者にとっては時間に合わせて作業をすることすらも、ルーチンワークの一部です。

 

農業

農業は、究極のルーチンワークかも知れません。

他の業種が作業単位、1日単位のルーチンワークであるのに対し、農業は1年間を通してのルーチンワークです。

 

作物を育てる土壌作りから始まり、苗の準備、作付け、雑草や害虫の除去、収穫、出荷と、決まった作業が進みます。

ただし、農作業は天候との戦いという側面も持ち、気楽な仕事と考えることは出来ません。

 

ルート営業

元々取引のある顧客を回って、細かなフォローや追加注文を拾うのがルート営業です。

既に顔なじみのお客様に対し注文が有ろうが無かろうが通う為、その業務はルーチンワーク化された部分が多くを占めます。

 

新規顧客開拓のための飛び込み営業もありませんし、ルート営業としては原則として達成するノルマも課せられないので、気楽な職種のようにも見えますが、営業のスタンスが新規営業と違い顧客側の状況次第ということになるので、直接商談に繋がっていない話にも付き合えなければならない為、勉強しなければならないことも多くなります。

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ルーチンワークのムダ・ムラ・ムリって何?

 

決められた手順通りを繰り返すルーチンワークは、一見、誰にでもこなせそうな気がしますし、やり方を覚えたら、後は効率も精度も上がって来そうに感じるものです。

 

しかし、実態がそうなってはいないことも珍しくありません。

 

その原因は、慣習化した手順が具体的に作業指示の中に明記されていなかったり、手順が列記されている為に作業毎の必要性を感じ取り辛いことから、重要な作業の精度を欠くことに繋がったり、繰り返し作業から惰性で仕事をするようになることから始まります。

 

ルーチンワークに入り込むムダ

作業に慣れてきて惰性で仕事をするようになってくると、手順の確認も含めて作業前の準備や後片付けが疎かになって来ます。

 

よく使うものは手元に置きっぱなしで、使った後も定位置に戻さなくなったり、必要なものが何なのか知ってるからと、余計なものが周囲に転がっていても気にならなくなって来ます。

 

いつの間にか職場の整頓は崩れ、未整理のまま雑然としたものに変わってしまいます。

気がつくと、シンプルだった筈の作業は、環境が整っていないことによって煩雑なものになってしまっていることがあります。

 

ルーチンワークから生まれるムラ

無意識のうちに作業の慣れは、人によって効率化にも繋がれば、集中力の低下を引き起こすこともあります。

その結果、作業の結果には個人差が目立つようになって来ます。

能力差として判断されないのであれば、そのムラは残業によって埋めるしかありません。

 

ルーチンワークってムリ

ルーチンワークとはいえ、慣習化された作業はその手順が明記されていないことがあります。

そのため、他の作業者によっては常識的な作業内容であっても、人によっては作業手順が未設定と感じられることもあります。

 

その未設定を自分なりの解釈で補おうとすると、作業結果にバラツキが生じ、後工程の作業が複雑化してしまう危険があります。

作業品質のブレが広範囲に及んで来ると、手順通りに進められない後工程の担当者にはムリな注文と受け取られ兼ねません。

 

ルーチンワーウが生み出すもう一つのムリは、退屈です。

何の挑戦も無しに毎日同じ作業を繰り返ししていると、自分が全く向上していないことへの不安が募って来ます。

自分はこのままで良いのかという焦りは、この仕事はもうムリという感情を引き出してしまいます。

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ルーチンワークを効率化する4つの方法

 

ルーチンワークは品質の均一化と作業の効率化のために生み出された方式です。

その方式を活かすためには幾つかの直接的なルールが必要ですし、その効果を最大化しようとすれば、間接的なものを含めて更に幾つかの仕組みの導入が望まれます。

 

 

マニュアル化

ルーチンワークは、決まった手順を繰り返す方式ですが、実際には作業中に想定していない状況が発生したり、手順が複雑化すると、抜けや重複が起きたりすることがあります。

そういった想定外に対処するには、マニュアル化が必須です。

 

通常の手順を標準化し、予定外の事象が発生した際の対処をマニュアル化しておけば、困惑することから回避することができます。

材料の組み合わせや量、組み合わせのタイミング等はレシピとしてまとめておけば、品質を均一にすることができます。

 

テンプレートを用意する

作業の効率化を考えるなら、テンプレートを用意することも有効です。

作業が必要な部分にだけ穴があいた枠を作り、その穴を埋めることを自分の責任作業のゴールとする方法です。

文書作成で言えば、色々な手続に使う申込書や、アンケート用紙等でお馴染みのスタイルです。

 

文書作成に限らず、自分が行わなければならない作業自体をテンプレート化し、完了した作業と未達成の作業がひと目で確認出来るようにしておいたり、自分の作業範囲だけでなく、全体工程の中のどの部分を担っているのかが分かるようにしておくにも、テンプレートは有効です。

 

タイムスケジュールを作る

手順通りに作業を進めるには、タイムスケジュールを作って進捗を確認しながら進めるのも有効です。

それぞれの作業に完了の定刻を設けておくことで、全体の工程も、その定刻毎に組み合わせて作ることが出来るようになります。

 

ここでのポイントは、あくまでも作業は定刻毎に区切られたタイムスケジュールに則って進めることです。

途中で出るミスを見込んで、予め処理の手順を決めておくことによって、タイムスケジュール全体を崩す危険も下げることができます。

 

工場では、製品化のプロセスを区切ってタスクリスト化したものから時間割を組むことで、作業者の出勤形態に合わせた、曜日割の作業工程表が出来上がります。

 

作業の細分化

ルーチンワークの最大の効果は、同様の作業の繰り返しによって効率と精度を高めることです。

 

そのため、どれだけ単純な作業の組み合わせで全体作業をデザイン出来るかが、その効果の大きさに影響します。

各々の工程を簡略化出来るのが望ましくはありますが、簡略化しきれない工程は専門の技術者を専任させる等して対応します。

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正社員こそルーチンワークと上手く付き合って5つの特典をget

 

手順が決まっている上にマニュアル化されている為、作業に熟練を必要としないルーチンワークでは、誰にでも出来る仕事、成長できない仕事という印象が持たれがちです。

 

ところが、ルーチンワークと上手く付き合うことによって、自分の中の人間性を成長させることが出来るのです。

雇用が継続することが約束された正社員ならではの付き合い方を、ご紹介します。

 

決まった時間に開放

挑戦の幅が狭められているように感じ、面白みの無さそうなルーチンワークですが、逆の捉え方をすれば、時間で管理される働き方は、仕事が終わった時点で開放されるというメリットがあります。

 

日々の仕事が終わった後の行動には制限を受けませんので、時間を決めて予定を入れやすくなりますし、趣味を日課として組み込むことも出来るようになります。

 

決まったリズムで健康生活

働く時間が決められていることは、健康面にも良い影響が出ます。

ルーチンワークは、仕事の難易度や締切の都合で作業時間が増減することも無く、定常的に作業の開始時刻と終了時刻は決められています。

 

言い換えれば、毎日決まった時間に起床することと、十分な睡眠を取れる時間で就寝出来ることが約束されているようなものです。

この特典を利用した生活のリズムで、健康生活も手に入れることができます。

 

計画的に休暇が取れる

ルーチンワークでは、予め決められた作業時間に対して仕事量が割り付けられます。

また、それぞれに割り振られる仕事は、簡略化とマニュアル化の恩恵で、他の担当者が担っても品質に差が出ない為、休んでも穴が開かないというメリットもあります。

 

言い換えれば、仕事の都合ではなく、自分の都合で休暇が取れるということです。

 

仕事が終わったら心も開放

ルーチンワークには、解決しないような問題が存在しません。

仕事が終わったら、その時点でやり残しとか宿題は残らないので、気持ちは一気に切り替わります。

 

毎日の仕事からの開放は、心にゆとりを生み出します。

ゆとりから生まれた優しさは、自分だけでなく、他の人をも幸せに出来るかも知れませんね。

 

働いた分だけお給料

ルーチンワークは、能力差が出難い方式です。

その分、作業の成果は作業時間に比例すると解釈することが出来、報酬の計算方法もシンプルで合理的です。

 

働く前から、その労働に対する報酬が計算出来るということは、遊びに使える余裕も計算出来るということです。

計算出来るということは、そのまま生活の安定に繋がります。

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ルーチンワークが苦手な人は6つの方法で工夫しよう

 

自分をノセる環境

ルーチンワークには挑戦めいた部分が少なく、作業をしている間に高揚感が薄れて来るという傾向があります。

高揚感の欠落は、仕事を退屈にしてしまいます。

ならばいっその事、自分で自分を鼓舞してみましょう。

 

自分の心に高揚感をもたらしてくれる音楽があるなら、その音楽を自分のテーマの様に頭の中で鳴らしてみましょう。

作業の中に一つの目標を設定し、その目標を目指すのも心躍る人が居るでしょう。

 

継続は力なり

繰り返し作業が誘い込んだ退屈は、気持ちを後ろ向きにさせがちです。

しかし、匠の技も繰り返しの鍛錬からしか手に入らないものです。

 

この際、自分が受け持った作業に関しては誰にも負けない位のプライドを持ちたいものです。

何物も変更することなく、頑固に継続するところにこそ、匠が誕生するのです。

 

同じ土俵で競争だ

ルーチンワークでは、同じ作業を繰り返します。

 

一巡目も二巡目も、人が変わっても作業手順と成果物は同じものになります。

いわば、同じ土俵で仕事をしているのです。

 

ならば、一巡目よりも二巡目は出来が良く、同僚よりも自分の方が素早く仕上げることが出来れば、それが喜びになります。

そこにはゲーム感覚で、場合によっては同僚と新記録をかけて争うような楽しみ方が存在します。

 

 

この仕事の達人になりたい

ともすれば、自分の成長が見込めないから意欲が湧かないという気分になりがちなルーチンワークですが、少しだけ心の持ち方を変えるだけで、その仕事はやり甲斐のある仕事に思えてきます。

 

ルーチンワークの一つの側面は、作業を簡略化した上で手順を定めることで、作業の簡易度を下げながらも品質を上げるというものです。

 

もう一つの側面は、複雑で高い技術力を必要とする工程を集約して専任者に任せることです。

この専任者は、誰よりも目的を理解し、それを実現することの大切さを認識している作業者の中から選別されます。

 

時々、その業務に精通した人を、神と称えることもある位です。

その領域に向けて、向上心を持って取り組む仕事は、きっとやり甲斐のあるものになるのでしょう。

 

みんなと一緒に頑張ろう

工程を区切った工場などでは、同じ工程や前後の工程の同僚と、職場やタイムスケジュールを共有しています。

同じ職場で同じように仕事をする仲間と、一緒に休憩を取り、一緒に退社時間を迎えます。

その仲間達とのコミュニケーションが良好であれば、退屈になりがちな仕事も楽しくなるに違いありません。

 

ルーチンワークはマラソンみたいなもの

同じ作業を同じ品質で、コツコツ積み重ねてゆくルーチンワークは、長距離スポーツの頂点、マラソンに似ています。

ゴールに向けて、理想の一歩をペースを守りながら積み上げてゆくことでしか、完走することは出来ません。

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